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» 2016年03月22日 19時09分 UPDATE

山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」:間違いなく史上最強の高画質メディア――米国版Ultra HD Blu-rayをチェックした (1/3)

日本での発売が待ち遠しいUltra HD Blu-ray。今回は米国で販売が開始された映画タイトルを中心に7タイトルを自室の環境でチェック、HDR対応テレビの視聴比較と合わせてお伝えしたい。

[山本浩司,ITmedia]

  3月1日、米国でUltra HD Blu-ray(以下、UHD BD)の映画作品の発売が開始された。

 20世紀フォックスが10タイトル、ソニーピクチャーズ6タイトル、ワーナー4タイトル、ライオンズゲート4タイトルというのがその内訳。そのラインアップ表をじっくり眺め、「オデッセイ」「エクソダス: 神と王」「キングスマン」(以上、20世紀フォックス)、「マッドマックス 怒りのデスロード」(ワーナー)、「The Last Witch Hunter 」(ライオンズゲート/日本未公開作)の5作を購入した(値段はそれぞれBlu-ray Discの約2倍の30ドル前後)。

ts_uhdbd03.jpgts_uhdbd04.jpg 20世紀フォックスの「オデッセイ」(原題:THE MARTIAN)と「キングスマン」。いずれもUltra HD Blu-ray盤は日本未発売

 これに加えてUltra HD Blu-rayの再生機能を有するわが国唯一の製品、パナソニック「DMR-UBZ1」の購入者特典としてサービスされる「るろうに剣心/京都大火編」「るろうに剣心/伝説の最期編」の2枚を加え、7作品のUHD BDを自室の環境で観た印象を今月は記してみたい。

 UHD BDは、DVD 、Blu-ray Discに続く(最後と目される)ハイファイ系デジタル・パッケージメディア。Blu-ray Discに対する画質面の優位点は、4K解像度(3840×2160ピクセル)、HDR (ハイダイナミックレンジ)、BT.2020規格準拠の広色域、10bit階調、完全プログレッシブ仕様の実現と枚挙にいとまがない。

 一方、音声面は現状のBDと同様で、ロスレスのマルチch音声が主流となる。しかし第1弾発売作品群を見ると、Dolby AtmosやDTS:Xなどの3Dオーディオ音声の収録作品が大きく増えそうな雰囲気だ。

 12cmの記録メディア自体はBDをベースとしたもので、50GB(2層)、66GB(2層)、100GB(3層)の3種類が用意される。映像圧縮技術は、BDで主流のH.264/MPEG4-AVCに加えて、このコーデックの約2倍の圧縮効率を誇るH.265/HEVCが採用され、2時間を超える映画作品も1枚のディスクに収録可能だ。

 第1弾発売作品全24タイトルのうち、4KマスターからUltra HD Blu-ray化された作品は、ソニーピクチャーズの6作品とライオンズゲートの3作品のみ。20世紀フォックスの10タイトル、ワーナーの4タイトル等はすべて2K(HD)マスターからのアップコンバート収録である。筆者が購入した作品で4Kマスター収録なのは、ライオンズゲートの「The Last Witch Hunter」だけということになる。

ts_uhdbd06.jpg ライオンズゲートの「The Last Witch Hunter」

 世界中の映画館に配給されるDCP(Digital Cinema Package)は2Kが主流、つまりほとんどの映画館のデジタルプロジェクターの解像度がフルHDである以上、費用対効果を考えるとこれは致し方ないことなのかもしれない。しかし、4Kテレビがどんどん一般家庭に入りつつあるこんにち、映画館がボトルネックになってUltra HD Blu-rayの4Kマスター採用作品が少ないというのも皮肉な話。

 「映画館を目指せ!」を合い言葉に1980年代にホームシアターを始めた筆者にとって、これはとても感慨深い出来事でもある。画質面ではもう明らかにホームシアターが映画館を超えたということになるからだ。

 ハリウッドの第1弾発売作品は、すべて現行BDを同梱(どうこん)した2枚組のコンボ・スタイル。UHD BD再生機を所有するユーザーがきわめて少ない現状では当然の方策といっていいだろう。筆者が購入した5作品のうち「エクソダス: 神と王」と「マッドマックス 怒りのデスロード」には日本語字幕が入っていて有り難かった。

訂正

初掲載時、「調べたところ全24作品のうち日本語字幕付なのは、この2タイトルだけのようだ」と記載しておりましたが、実際にはワーナーの4タイトルと21世紀FOXの数タイトルにも日本語字幕が入っている模様です。お詫びして訂正いたします


 さて、ではUltra HD Blu-rayを巡るわが国の状況はどうか。3月下旬にビコムから4Kカメラ撮影&HDRグレーディングで制作された「4K 夜景」が発売される予定だが、先述したハリウッド映画のUltra HD Blu-rayの発売時期は明らかにされていない。

ts_uhdbd01.jpg ビコムの「4K 夜景」は3月26日発売。価格は6000円(税別)

 北米では約400ドルと安価なサムスン製UHD BDプレーヤーが発売されているが、日本でUltra HD Blu-rayが再生できるのは、約40万円と高価なパナソニック「DMR-UBZ1」のみ。ソフトを販売してもたいして売れないという判断をされても仕方ないが、とても残念だ。こんなところにも、AVマーケットにおけるわが日本の凋落を実感すると述べたら言い過ぎになるだろうか。

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