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Ultra HD Blu-rayの実力を堪能できる4Kテレビはコレだ!(前編)山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(1/3 ページ)

» 2016年04月25日 14時58分 公開
[山本浩司ITmedia]

 先月の本欄で、3月に米国で発売されたUltra HD Blu-ray(以下、UHD BD)を観た印象を記した。その視聴ではっきりと認識したのは、UHD BDは高画質をとことん追求できる、とてつもない可能性を秘めたハイクオリティーメディアであること、そして執筆時点の3月半ばにおいて、UHD BDの魅力を十全に引き出せる家庭用4Kテレビ&4Kプロジェクターは存在しないということだった。

 昨年発売された4Kテレビの中で1、2を争う高画質モデルだった東芝「Z20X」も、色域拡大が実現されたUHD BDを再生すると、色合いの不自然さと淡白さに物足りなさを実感させられたが、その後同社はZ20Xの「HDRフォーマットディスク再生時の画質向上」のアップグレードを実施した。

東芝のフラグシップモデル「Z20Xシリーズ」。中央が65V型の「65Z20X」

 ハリウッド産UHD BDを入手した同社設計陣は、この超高画質メディアに秘められた可能性の大きさに衝撃を受けたのだろう、UHD BDの魅力が十分に引き出せるように色合いの再設定などUHD BDにフォーカスした画質の再チューニングにすばやく取りかかったわけである。実際にそのアップグレードサービス済みの「65Z20X」をチェックしてみたが、その画質向上ぶりは目覚ましいものだった。

 Sony Pictures Home Entertainmentの4KマスターUHD BD「スパイダーマン2」を見ると、ニューヨークのタイムズスクエアで暴れるエレクトロの、怒りで沸騰したシアン系のぎらつく表情やスパイダーマンの赤いコスチュームが実に生々しく、思わず息をのむリアリティが付与されていた。アップグレード以前はもっと浅い発色で、違和感を抱かせる色合いだったのだが……。安心してUHD BDが楽しめる4Kテレビに生まれ変わったZ20X。本シリーズのユーザーは、ぜひアップグレードサービスを受けてUHD BDをお楽しみいただきたいと思う。

 さてそのUHD BDの色域だが、前回述べたようにHDR(ハイダイナミックレンジ)対応ディスプレイとHDMI接続した場合は、物体色のほぼすべて(99.9%)をカバーするBT.2020規格の色空間で伝送される、またHDR に対応していないSDR(スタンダードダイナミックレンジ)表示機器とつないだ場合は、物体色の約75%をカバーする従来のBT.709規格の色空間に変換して伝送される、と述べた。

 それはその通りなのだが、実際にはハリウッド産UHD BDのグレーディング(色補正)は、実質上デジタルシネマの色域であるDCI P3で管理されるようだ。アップグレード済みの65Z20Xで見てその色のリアリティに感激した「スパイダーマン2」も、BT.2020の色空間で伝送されたDCI色域だったわけである。

 考えてみれば、UHD BDの制作過程で使われることが多い有機ELのHDR対応マスターモニター、ソニー「BVM-X300」においてもBT.2020の広色域をフルカバーできないわけで、UHD BDがDCI色域で管理されるのも当然といえば当然の話なのだろう。

「エクソダス:神と王」

 ところで、先月の本欄で「欧州で発表されたパナソニック製UHD BDプレーヤーが6月頃に日本で発売され、それに合わせてハリウッド製UHD BDがわが国に登場するとの噂もある」と書いた。既報の通り、6月8日以降、20世紀フォックスから「エクソダス:神と王」など7タイトルが、 6月22日にワーナーから「マッドマックス 怒りのデスロード」「クリード チャンプを継ぐ男」など7タイトルの発売が決定したが、この前後に手頃な価格のUHD BDプレーヤーが登場すれば、この夏以降誰もが未曾有の高画質メディアでハリウッド映画が楽しめることになるわけで、UHD BDに照準を合わせて画質チューニングされたHDR 対応高級4Kテレビの存在意義がますます高まることになるだろう。

 そんな状況下、4月に入ってからパナソニック、ソニー、LG、東芝、シャープと4Kテレビの新製品発表が相次いでいる。今月はその中から1月のCES で発表された「Ultra HD Premium」規定を満たしたパナソニック「TH-65DX950」とLGエレクトロニクス「65E6P」のファースト・インプレッションを記したいと思う。

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