インタビュー
» 2016年05月20日 12時53分 UPDATE

「春のヘッドフォン祭2016」に突如現れた「Head-Fi Japan」とは?――世界最大のヘッドフォンコミュニティとその展望 (1/3)

「春のヘッドフォン祭2016」の会場に一風変わったブース「Head-Fi Japan」があったことをご存じだろうか。世界最大規模のヘッドフォン関連コミュニティの日本上陸について、創立者のJude Mansilla氏と「Head-Fi Japan」編集長の田代彰彦氏に詳しい話を聞いた。

[島幸太郎,ITmedia]

 4月末に開催された「春のヘッドフォン祭2016」。主催者発表で約9000人の参加者を記録し、国内最大級のヘッドフォン&イヤフォン関連イベントとしての貫禄を見せた形となった。今回のヘッドフォン祭では100社以上がブースを構え、さまざまな製品を展示していたが、その中に一風変わったブース「Head-Fi Japan」があったことをご存じだろうか。

 「Head-Fi」と聞いてピンときた方は、かなりポータブルオーディオにはまっていることだろう。何を隠そう、「Head-Fi」は世界最大規模のヘッドフォン関連コミュニティとして海外では絶大な信頼が寄せられている団体だ。「Head-Fi」創立者のJude Mansilla氏と日本でのセールス&マーケティングおよび「Head-Fi Japan」編集長を務める田代彰彦氏にインタビューすることができたので、設立の趣旨や今後の展望について話を聞いた。

写真右からHead-Fi創立者のJude Mansilla氏、Head-Fi Japanコミュニティ・モデレーターの夏希めい氏、Head-Fi Japan編集長の田代彰彦氏。田代氏は、ニューヨークにある「AREA 51 NYC Recording Studios」 創業者。1980年代にアメリカで流行ったヒット曲のRemixerで主に12 inch single版を手掛けたとのこと。マイクロフォン・コレクターであり、特に Dave Smith コレクションのAKG「C12」コンデンサー・チューブ・マイクがお気に入りだそうだ。夏希氏は、博報堂系列の広告代理店出身。独立しHead-Fi Japanコミュニティ・モデレーターに就任。父親が存命だったころに愛用していたゼンハイザー「HD650」がお気に入りだが、普段はイヤフォンを愛用しているとのこと。東北生まれ。ニックネームは「なっちゃん」

世界最大のヘッドフォン関連コミュニティ「Head-Fi」とは?

――「Head-Fi」といえば、英語圏を中心とした世界最大規模のヘッドフォン関連コミュニティとして熱心なオーディオファンの間で知られてきましたが、まずはJudeさんのプロフィールと「Head-Fi」について教えてください

「Head-Fi」本国サイト。世界最大のヘッドフォン/イヤフォン関連の情報サイト。製品レビューとコミュニティという2つの柱で成り立っている

Mansilla氏:私は2001年に他のユーザーとヘッドフォンで良い音を楽しむための情報交換や交流をする目的で「Head-Fi」を立ち上げました。当時は純粋に楽しむために趣味で運営しており、同時接続者数は100人くらいだったのですが、iPodやiPhoneといったヘッドフォンと親和性の高いプロダクトが広く普及するようになった結果、現在では同時接続者数が3000人、ユニークビジター数は月間200万人となっています。「Head-Fi」は私の当初の予想を超えて大きくなっているというのが現状です。

――「Head-Fi Japan」の設立について、どのようなきっかけがあったのでしょうか

Mansilla氏:2011年に私が初めて「ヘッドフォン祭」に参加したとき、その楽しさに感動し、以来何度も参加してきました。その際、日本で出会った何人かから、「『Head-Fi』の日本版を是非やってほしい。ミシガンじゃなくてね」と提案されたのがきっかけです。

 実際のところ、「Head-Fi」は立ち上げから現在にいたるまで、一定数の日本からのアクセスがあり、数も増加傾向にあるのですが、コミュニティへの投稿の数はあまり多くありません。これは日本のユーザーが英語での製品レビューやコミュニケーションに不慣れだということが大きいと思います。一方で、日本のユーザーは意見交換が大変活発で、また独自のコミュニティがいくつもあり、パーソナルオーディオへの熱い気持ちを持っています。こうした想いを「Head-Fi」にも紹介していくことで、今は分断状態にある日本と海外をつなげる役目を果たしたいと思っています。

「Head-Fi Japan」。現在試験運用中とのことで、本番仕様は秋頃リリースの予定

――日本にはすでにいくつかのコミュニティがありますが、「Head-Fi Japan」はどういうポジションを獲得したいとお考えでしょうか

Mansilla氏:まだ日本のコミュニティについての理解が不足しているので、今の時点で明確にこういうポジションというのは答えにくいですね(笑)

田代氏:「Head-Fi」では「meet up」という小規模のユーザー交流会を世界各国で実施していますが、こうした交流会を日本でも開催したいと思っています。日本のコミュニティは比較的顔が見えにくいと思いますから、お互い顔が見える中で製品を交えて交流していく、そういう機会を作っていくことを特長としていきたいですね。また、「Head-Fi」には数えきれないほど多くの製品レビューがありますから、こうしたレビューからピックアップして翻訳した記事を「Head-Fi Japan」で紹介したいと思っています。

Mansilla氏: “meet up”は世界中のどこかで、ほぼ毎週各所で行われており、5人くらいのときもあれば15人以上のときもあります。ポータブルオーディオは移動がとても簡単なので、こうした交流会が海外でも盛んです。マニアックな製品をお互いに車のトランクにいれて持ち寄って音を聴いたり写真を撮ったりするのはとても楽しいですね。

田代氏: 私は日本で「meet up」を盛り上がるために参加者限定の特典を提供したいと思っています。私は音楽制作に長年携わっていましたので、例えばハイレゾ音源を特別に用意して参加者に提供したり、先行して試聴できる機会を作ったり、といったことをしていきたいですね。

――「Head-Fi Japan」は構想としてはいつ頃から念頭にあったのでしょうか。また、本格的にスタートする時期やスタッフ構成についてはいかがでしょうか

Mansilla氏: 構想がスタートした2011年時点では、日本での展開は全く実現する手段がありませんでしたが、現在「Head-Fi」はWikia Inc.と業務提携しており、Wikiaの子会社であるウィキア・ジャパンと協力することで「Head-Fi Japan」構想を具体化することができました。実際に検討が始まったのは昨年のことになりますが、こうしたきっかけをいただけたことを大変うれしく思っています。正式なサービス開始は今冬を予定しています。

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