インタビュー
» 2016年06月13日 06時00分 UPDATE

デザインから見る二次元:アニメ、コミック、ラノベの「デザイン」とは何か? 人気デザイナーに聞く仕事の裏側 (1/3)

アニメ、コミック、ラノベなど幅広いジャンルで装丁やパッケージデザインを担当してきたデザイナーの團夢見社長にデザインの裏側を聞いた。

[村上万純,ITmedia]

 書店でラノベやコミックを手に取るとき、そのデザインまで意識する人はどれほどいるだろうか。筋金入りのファンでも、作家やイラストレーターの名前こそ知っていても、装丁担当まで把握している人はなかなかいないはずだ。

 アニメ、コミック、ラノベなど二次元作品の世界観を表現する上で、デザインは重要な役割を担う。しかし、「じゃあ、デザインって具体的に何なのさ?」と思ってしまうのも確かだ。

 そこで、さまざまな人気作品のデザインを手がけてきたimagejackの團夢見(だんゆみ)社長に話を聞いた。デザイナー歴は10年以上で累計作品数は数百点にも上る。

imagejack imagejackの事務所。團さんが担当した作品は数百点
作品 ジャンルはアニメ、コミック、ラノベなど多岐にわたる

 フジテレビのノイタミナ枠で放送されたアニメ「UN-GO」「坂道のアポロン」、GAINAXの「Panty&Stocking with Garterbelt」(パンティ アンド ストッキング ウィズ ガーターベルト)、新海誠監督の「彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」、アニメ化したコミックでは「悪魔のリドル」、ラノベでは「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」「彼女がフラグをおられたら」「R-15」などを担当してきた。今後放送のアニメでは「orange」「ACCA13区観察課」などのデザインも担う(※作品により、ロゴ、BDデザイン、ポスターなど担当箇所は異なる)。

悪魔のリドル アニメ「悪魔のリドル」番宣ポスター©高河ゆん・南方純/KADOKAWA刊/「悪魔のリドル」製作委員会(imagejackのtumblrより)
orange 今夏放送のアニメ「orange」©高野苺・双葉社/orange製作委員会(imagejackのtumblrより)

 中でも大人の女性向けコミックを担当することが多く、「女性の内側にある中二っぽさをくすぐること」(編集部注:「中二病」は思春期特有の言動を大人になってもしてしまうこと)を意識するという團さん。「そもそも、デザインとは何か?」「アイディアのヒントはどこから得るのか」といった基本的なことから特定作品の詳細まで、知られざるデザインの現場に迫っていく。

そもそも、デザインって何?

 デザインと一言でいっても、なかなかその実態はイメージしにくい。現に團さんも「知人に担当した本の表紙を見せたときに『絵、うまいね!』と言われたことがあります」と苦笑する。

 ご存知の通り、ラノベやコミックの表紙にいるキャラクターはイラストレーターが描いている。では、デザインとは具体的に何を指すのか。

 作品により作業内容は異なるが、ロゴを作るのはデザイナーの役目だ。全体の構図決めを行い、イラストレーターの絵を元に配色や配置をし、加工OKの指示が出た場合は元絵の色や線もいじっていく。

 例えばラノベはタイトルが長いことが多いので、「まずキーワードを決めて、それをどう目立たせるかを考える」という。MF文庫J「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」では「兄、愛、関係」がキーワードで、漢字だけフォントを変えて文字を太く大きくした。

おにあい MF文庫J「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」表紙。強調したいフォントは目立たせ、キャラクターをかわいく見せるピンク色を採用した©KADOKAWA CORPORATION 2015 (メディアファクトリー公式サイトより)

 團さんがラノベの装丁をするときは「ラノベファンに安心感を与えるラノベっぽさ」や「ごちゃごちゃしがちなタイトルも含めてかわいく見やすくする」ことを重視する。

 また、團さんの場合、各キャラクターをイメージしてタイトルロゴの色を巻ごとに変えることが多い。「ヒロインをかわいく見せることができ、なおかつ目立つから」という理由で、1巻のタイトルはピンクに決まることが多い。團さん自身、パッとした色使いが好きなので蛍光ピンク(業界では蛍ピンと略すらしい)を好んで使用し、特にコミックスの表紙では蛍ピンがよく見られる。

ラノベ表紙 團さんが装丁したラノベ。左から「R-15」©KADOKAWA CORPORATION 2016「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」©KADOKAWA CORPORATION 2015「彼女がフラグをおられたら」©竹井10日/講談社 イラスト:CUTEG

 他のデザイナーが担当した作品でも、“その人らしさ”を感じることがあるという。團さんは「本屋でコミックを手に取り、これはあのデザイナーさんかな〜と思ったりします」と話す。属人性の高い仕事なだけに、フォントや配色などに個性がにじみ出るようだ。

蛍光ピンク 確かに蛍光ピンクのデザインが目立つ
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