タムロンから、ポートレート撮影に特化した85mmが登場した。開放F値は1.8で手ブレ補正機構搭載、徹底した収差の補正を行ったこのレンズは、簡易防塵防滴構造で厳しいシチュエーションでの撮影も可能にしてくれる。
「Model F016」というモデルナンバーで呼ばれる「SP 85mm F/1.8 Di VC USD」。LD(Low Dispersion:異常低分散)レンズと、XLD(eXtra Low Dispersion)レンズを使用して、倍率色収差、軸上色収差を極限まで補正し、濁りがなくヌケのいい画像を提供してくれる。クッキリと際立った合焦点から、ススッと連続する上品で滑らかな質感再現は、ポートレートはもちろん、テーブルフォトやスナップでも使いたくなる写りだ。シャープさと柔らかさの旨みを味わえる珍しいレンズと言えるだろう。
スッキリとした鏡筒デザインはどんなカメラボディにもマッチしそうで、大きく操作しやすいAF/MF切り替えスイッチとVC ON/OFFスイッチは好感が持てる。フィルター径は67mmで最短撮影距離は0.8m、重量はキヤノン用が700g、ニコン用が660gとなっている。絞り羽根は9枚で円形絞りだ。
ニコン「Df」に装着してインプレッションしてみたが、ボディとのバランスも良好で、オートフォーカスのスピードと正確さ、手ブレ補正の効きも満足がいくものだった。簡易的なものだが防塵防滴構造という点と、レンズ最前面に防汚コートを施しているので、降雨時でも安心して撮影できるのも特長だ。また別売のTAMRON TAP-in Consoleで各種設定が変更できる点も見逃せない。使いやすい中望遠レンズを探してみる人は試してみるといいだろう。
モデルの向かって右側の瞳にフォーカス。チョイ絞りでシャッターを切ったが、肌のトーンや髪の毛の描写がなかなかよい。ソフトさとシャープさがうまく両立しているように思える。ボケ味も上品で美しい。
85mmはポートレート専用レンズではない。スナップや風景でも活躍する。このレンズのヌケのよさはさまざまな被写体でも感じられるだろう。芯がありながらどことなくおぼろげな雰囲気を感じさせる写りが魅力である。
磯で佇むモデルの佐藤杏奈さん。凛とした視線を投げかける表情と、女性らしい暖かさを感じさせるボディをこのレンズはしっかりと捉えた。日が落ちかけて気温が低下したところだったので、鳥肌気味の様子なのが見てとれる。
このレンズはネコのポートレートもいい(笑)。とある人造湖の横で出会ったネコだが、薄暗い場所だったので絞り開放でシューティング。合焦点のキリッとした写りと、そこからのフェードしていく美しいボケ味で、立体感ある様子を撮ることができた。
このレンズは前ボケ後ボケともに自然でクセのない印象だ。絞り開放の立体感もいいが、少し絞って画質的にピークに達した絵も魅力的である。被写体をどのように表現したいかによって、試行錯誤して撮影を楽しみたいものだ。
手ブレ補正機能はとてもいい。薄暮時やわずかな光量の環境下で、絞りを開けてギリギリの撮影をするときには大いに威力を発揮する。手持ちで機動力を生かしたいフォトグラファーには武器になるはずだ。低感度で画質を優先したいならなおさらである。
オートフォーカスは正確だ。磯の風で乱れる髪の毛を通して、モデルの瞳に見事に合焦した。狙いどおりにピタリと合うフォーカスは、テンポ良く撮影を進めたいフォトグラファーに安心感を与えてくれる。描写も開放ながら非常に良く整っている印象だ。
(モデル:佐藤杏奈/オスカープロモーション)
(編注:本記事では一般的な撮影状態での利用を念頭に置いているため、人物撮影にレフ版などは利用しておりません)
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