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» 2016年07月31日 13時00分 UPDATE

山形豪・自然写真撮影紀:写真展「Go Wild!」を開催

この度、フジフイルムスクエアにて個展を開催することになった。過去16年間に渡って南アフリカ、ナミビア、ボツワナに通いつめて撮影した写真の中から、南部アフリカの野生動物をテーマに、自然の持つ多彩さを見てもらえるものをピックアップした。

[山形豪,ITmedia]

 8月5日から18日までの期間、六本木ミッドタウンのフジフイルムスクエアにて、「Go Wild! 南部アフリカ 動物たちの最驚楽園(さいきょうらくえん)」と題した個展を開催することになった。

 テーマはズバリ南部アフリカの野生動物たちだ。日本では“アフリカの自然”というと、ほぼ自動的に東アフリカのタンザニアやケニヤの草原を連想する人が大半だ。しかし、このコーナーでも以前からお伝えしているように、広大なアフリカ大陸にあって、南部アフリカも非常に自然の豊かな地域だ。その理由は気候の多様さや複雑な地形にある。アフリカ大陸南端部は、南大西洋に逆三角形を描く形で突き出している。そして東側の沿岸には赤道付近から南下する温暖なアグラス海流が、西側には南極に近い南大西洋から北上してくる寒冷なベングエラ海流がやってくる。そのため、同じ緯度であっても西側と東側でまったく気候が違い、それに伴い生態系も大きく異なっている。

山形豪 Go Wild! 南部アフリカの大西洋岸に暮らすケープペンギン。南アフリカ、ベティーズベイ。ニコンD300、AF-S NIKKOR 500mm f/4DII ED、1/4000秒 f/5 ISO800 -1.0EV

 例えば、南回帰線付近(南緯23度27分)を見てみると、西側はナミブ砂漠とその大西洋岸に当たり、冷たい海にケープペンギンやミナミアフリカオットセイなどが生息している。一方、同緯度をずっと東へと辿っていくと、やがてモザンビークの南端部と南アフリカ共和国の北東端とが交わるエリアに行き着く。ここはインド洋からの温かく湿った空気がやってくるため、緑豊かなサバンナが広がっており、アフリカゾウやヒョウ、サイなど、アフリカを代表する動物たちの闊歩する地域となっている。また、内陸部は内陸部で、砂漠から森林、湿地帯、高山などのバラエティー豊かな生態系があり、それぞれの場所に見事に適応した大小様々な動物たちが生息している。

 このような多様性を有する地域であるため、自然写真家にとってのチョイスは無限大と言っても過言ではない。実際、私は過去16年間に渡って南アフリカ、ナミビア、ボツワナに通いつめてきたが、まだまだ行ってみたい場所、撮ってみたい被写体は数多く存在する。加えてこの3カ国は、これまでのところ内戦やテロといった重大な治安上の問題を抱えておらず、国立公園や動物保護区のインフラも整っているため、安心して長期の撮影を行うことができる。

山形豪 Go Wild! 白い牙を見せ、あくびをするヒョウ。ボツワナ、マシャトゥ動物保護区。ニコンD800E、AF-S NIKKOR 800mm f/5.6E FL ED VR、1/80秒 f/8 ISO640、SB-910

 以上のような理由から、日本ではあまり知られていない南部アフリカにフォーカスして野生動物や風景を撮り続けてきたわけだが、このほどようやく個展という形でそれらの一部を発表する機会を得た。自然の持つ多彩さを見てもらいたいという願いも込めて、展示作品にはチーターやキリン、カバといった大型哺乳類のみならず、カラフルな鳥類や、砂漠に暮らす奇妙な爬虫類など、ステレオタイプなアフリカのイメージとはかけ離れたものも含めた。

山形豪 Go Wild! ナミブ砂漠に住むナマクワカメレオン。ナミビア、ナミブ・スケルトンコースト国立公園。ニコンD800、PC-E NIKKOR 24mm f/3.5D ED、1/250秒 f/25 ISO1000

 さらに、思い切った試みの1つとして、ほぼ等身大のオスライオンのパネルも展示する予定だ。ライオンは、“大型”ネコ科とは言うが、そのサイズが実際どれほどのものなのかを身近に体感できる機会はほとんどない。カラハリ砂漠で遭遇する個体は、大きいものになると私の手のひらほどの大きさの足跡を砂の上に残してゆく。また、以前南アフリカの保護施設で、金網越しに目の前で見たオスなどは、4本足で立っている状態で、身長165cmの私の目線とほぼ同じ位置にたてがみのてっぺんがあった。そんなライオンの巨大さを、是非間近で実感していただければと思い、特大パネルの制作を思い立った。

 インクジェットプリンターでは出せない、透明感と立体感のあるフジフイルムならではの銀塩プリントで、大小さまざまな動物たちの、時に猛々しく、時にユーモラスな姿や、南部アフリカの雄大な自然の広がりを感じていただければ幸いだ。

 8月5日(金)と13日(土)の各11時と14時からは、ギャラリートークも行うほか、夏休み期間中ということもあって、小・中学生向けのトークショーやクイズラリーなども企画している。詳しくは、フジフイルムスクエアのオフィシャルサイトに情報があるのでご確認いただきたい。

 なお、今回の写真展は、富士フイルムフォトサロン東京の行っている若手写真家応援プロジェクト「写真家たちの新しい物語」の1つとして開催される。これは2013年から年4回行われている公募展で、審査を通過した作品に対し、フジフイルムがプリントの制作費、パネル加工費、DM制作費等を支援してくれるという、大変ありがたいものだ。45歳以下で、過去に富士フイルムフォトサロンでの個展開催経験のない写真家に応募資格がある。

 最後に、今回の写真展に合わせる形で、私にとって初の写真集となる「From The Land of Good Hope / 喜望の地より」を発売する(ソフトカバー・A4・128ページ/定価:3500円(税込)/発行:風景写真出版)。こちらもぜひ手に取っていただければと思う。

山形豪 Go Wild! 「From The Land of Good Hope」(ソフトカバー・A4・128ページ/定価:3500円(税込)/発行:風景写真出版 / 8月5日発売)

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