水を「プシャ!」と噴出して、床にこびりついた汚れを、洗剤入りのパッドをこすりつけてきれいにする床ふきロボット「ブラーバ ジェット240」。既存の「ブラーバ380j」よりも本体はコンパクトになったが、洗浄力は格段に上がったという。ここでは開発責任者である米iRobotのCOOクリスチャン・セルダ氏に、本体の内部構造や動作の仕組み、パッドの秘密まで細かく聞いた。
――今回発表された「ルンバ960」と「ブラーバ ジェット240」は、ともにマッピングを行いながら掃除をしますが、前者がカメラを搭載しているのに対し、後者は非搭載です。その仕組みにどのような差があるのでしょうか?
セルダ氏:ルンバ960とブラーバ ジェット240は同じアルゴリズムは使ってますが、ルンバ960の方がマッピング性能は高くなってます。それはルンバ960の方が、移動時に対応しなければならない条件が厳しいからです。ブラーバは床ふきロボットであり、基本的には固い床しか走行することがありません。1回の動作範囲も狭く、解決すべきシチュエーションも比較的シンプルです。一方、ルンバ960はロボット掃除機であり、固い床だけでなく、カーペット、畳、段差など、あらゆる床面に対応できなければなりません。それだけ取り組まなければならないシチュエーションも複雑です。だからこそ、ルンバにはより高いマッピング精度が必要であり、そのためにカメラを搭載しています。
――既存製品のブラーバ380jはルンバシリーズとは異なる「ノーススター・ナビゲーションシステム」を採用していましたが、なぜブラーバ ジェット240はルンバと同じアルゴリズムを採用したのでしょうか?
セルダ氏:それは発表会でCEOのコリン・アングルがスマートホームについてプレゼンしていたことと関係があります。将来的にルンバもブラーバも、スマートホームの移動式センサープラットフォームにすぎなくなり、そのためには今よりもさらに精度の高いマッピングナビゲーション技術が必要となるからです。ノーススターナビゲーションシステムではそれが実現できません。
――とはいえ、ブラーバ380jが最大100畳以上の掃除(乾ぶき)に対応しているのに対し、ブラーバ ジェット240は最大15畳と、これまでのブラーバユーザーからするとやや狭い感じが否めません。このあたりについてはどうでしょうか?
セルダ氏:ブラーバ ジェット240は、日本や中国といったアジア地域を一番のターゲットに据えた商品として開発されました。アジア地域の比較的狭い住環境であれば、その対応畳数でも十分だと考えております。実際、何人ものそういった住居に住むモニターの声を集めて、開発に取り入れてます。確かにアメリカなどの広い家で使うにはやや対応畳数が足りないかもしれませんが、例えば都市部のアパートなどであれば、ブラーバ ジェット240はピッタリだと思います。ブラーバ380jとブラーバ ジェット240は、使う住環境の広さによって使い分けてもらえると思います。
――しかし、技術的には新しいものですし、ルンバ960などは最大112畳を網羅できるのですから、ノーススターナビゲーションシステムと同様か、それ以上の広範囲をカバーすることもできたのではないでしょうか?
セルダ氏:カバーするエリアに合わせ、実はブラーバ ジェット240では、ありとあらゆるシステムを変えています。バッテリーも交換式でコンパクト化しましたし、水タンクも小さくしています。実はナビゲーションシステムだけではないんです。
――ターゲットとする市場に合わせて作ろうとした結果、このサイズ感が最適だったということですか?
セルダ氏:その通りです。例えばアメリカの場合、洗面台とトイレの間はブラーバ ジェット240よりちょっと大きいくらいのスペースがあるようです。日本の場合は、ソファとテーブルの間が、このブラーバジェットと比べると一回り大きいくらいとなっていることが多いというリサーチ結果もあります。このような住環境のサイズに合わせて最適化しました。
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