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料理アシスタントロボットからディスプレイ付き冷蔵庫まで――欧州スマート家電の最新事情山本敦の「体当たりッ!スマート家電事始め」(1/6 ページ)

» 2016年09月13日 00時05分 公開
[山本敦ITmedia]

 ドイツの首都、ベルリンで年に1度開催されるエレクトロニクスショー「IFA」は、白物家電の展示会・見本市としては世界最大級の規模を誇るイベントだ。IFAに集まるブランドの展示を俯瞰すれば、スマート家電の最先端が垣間見えてくる。今回は筆者が2016年のIFAの会場を回って見つけたスマート家電を紹介しよう。

世界最大規模で開催されるエレクトロニクスショー「IFA」の会場となるメッセ・ベルリン。期間中約24万人の来場者を迎え入れる

IFAで力のこもったスマート家電を発表した欧州の3大ブランド

 IFAには毎年ヨーロッパを代表する家電ブランドのSiemens(シーメンス)、BOSCH(ボッシュ)、Philips(フィリップス)が参加している。3つのブランドは数年ほど前から競ってヨーロッパにおけるスマート家電のトレンドをリードしてきた。IFAは彼らにとって重要な製品やサービスを発表する絶好の機会になっている。

ボッシュのブースは天井から青く光るオブジェが同社のスマート家電に降臨。ネットワークにつながる家電のバラエティの広さをアピールした

 とはいえ、日本の方々にとってはドイツのシーメンスとボッシュはコンシューマー家電のメーカーとして馴染みが薄いかもしれない。初めてIFAに足を運ぶとびっくりするかもしれないが、両社のブースには冷蔵庫や洗濯機、IHクッキングヒーターをはじめ、掃除機やアイロンなどのスモールアプライアンスまで、バラエティ豊かなコンシューマー家電があふれている。IFAに集まるベルリン市民、ドイツ国民、そして世界のトレードビジターにジャーナリストも両社のブースにはいの一番に足を運ぶほど注目されている。もっとも、一般来場者が集まる理由は、ブースに行くとキッチン家電で作った料理の試食や、コーヒーメーカーで淹れた美味しいコーヒーが無料で味わえるからなのかもしれないが。

 シーメンスとボッシュは、ヨーロッパにおけるスマート家電のプラットフォームを設立する目的でBSH Hausgeraedeという会社を合弁で立ち上げた。両社のコラボはうまく行っているかと思われたが、2015年にボッシュがシーメンスの保有する同社の50%の株を取得して完全子会社にしてしまった。まあ、その結果両社が立ち上げた「Home Connect」のプラットフォームからシーメンスが抜けてしまったわけではないので、両社の役割分担が次のステップに進んだというだけのことかもしれない。ただ、両社のブースを歩いてみると、それぞれに同じカテゴリーの製品を揃えてはいるものの、コンセプトの見せ方に違いがあることも見えてくる。

 ボッシュは今年、大々的に「インターネットにつながる家電」をアピールしていた。様々な製品カテゴリーの垣根を取り払ったオープンな展示スペースに、天井からWi-Fiの電波が降ってくる様子をイメージしたというイルミネーションのオブジェを張り巡らせて、ボッシュはコネクテッドデバイスに自信ありという姿勢を強く打ち出した。

IHクッキングヒーターもスマート化。プレートのセットアップがアプリから細かく行える

 ボッシュのインターネットにつながる家電の種類は実に多岐に渡る。例えば冷蔵庫は扉の内側にカメラを付けて、スマホからインターネットでカメラにアクセスすると、冷蔵庫の中味が分かって、今日買い足すべき食材などが把握できるという筋書き。今後はアマゾンが展開するeコマースのシステムとも連携して、足りない食材を速やかにネットショッピングで注文するという流れにも発展していくようだ。そして、同社が来年発売を予定しているインターネットにつながる新しいスマート家電は「IHクッキングヒーター」。スマホアプリから加熱するプレートのエリアを細かく設定したり、インターネット経由で参照したレシピに合わせて、ヒーターの温め方やタイマー設定をコントロールできるようになる。キッチンに立つ家族のための、賢いパートナーが誕生しそうだ。

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