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完全ワイヤレスも含む3機種に拡充! ソニーが送り出すデジタルNC搭載ヘッドフォン「1000X」シリーズの詳細を聞く(2/3 ページ)

» 2017年09月02日 12時00分 公開
[山本敦ITmedia]

アプリが提供する機能も充実

 3モデル共通で搭載しているもう1つの機能が、専用アプリ「Sony Headphones Connect」によるリスニング環境のカスタマイズだ。1000Xシリーズはアプリによる複数の設定項目が開放されている。

「Sony Headphones Connect」の画面

 その1つが「外音コントロール」だ。ボーズのノイズキャンセリング機能を搭載するワイヤレスイヤフォン「QuietControl 30」などの製品が先に搭載してきた、外音取り込みのレベルを微調整できる機能が1000Xシリーズにも搭載された。

 レベル調整は1〜20の段階で「ボイスフォーカスモード」としてアプリから選ぶ。アプリのUIから外音コントロールをオンにして、スライダーを動かすことで取り込む量を調節する。本体側での操作はできない。アプリで操作して決めた値はヘッドフォンの電源を一度落としてから再起動をかけても保持される。

 この機能を応用して、さらにユーザーのリスニング環境とアクティビティに応じて外音取り込みやNCレベルを自動で調節してくれる「スマート自動設定」機能も搭載された。

 仕組みはヘッドフォンにペアリングしているスマホの加速度センサーとGPSを併用してユーザーの動きを検出。「止まっているとき」「歩いているとき」「走っているとき」「乗り物に乗っているとき」の4つの行動パターンがあらかじめ設定されており、モードは自動で切り替える。例えばイスに座った状態から立ち上がって歩き出すと、15秒前後でアプリの画面が「歩いているとき」に自動で切り替わる。3つの1000Xシリーズ共通で利用できるフィーチャーになる。

 各モードはデフォルトの設定値を持っているが、それぞれにソニーがおすすめする値というわけではなく、機能自体はこれをベースにユーザーがカスタマイズすることを前提にしている。デフォルト設定は「止まっている」状態ではノイズキャンセリングとボイスフォーカスがONになる。「歩いています」の際には外音取り込みの値が12になり、「走っています」の時には外音取り込みのレベルが最大の20になって、外の音がしっかり聴ける。「乗り物に乗っています」の時はノイズキャンセリングのみがONという具合だ。

 「サウンドエフェクト」をアレンジして自分好みの音にカスタマイズができる。国内でも発売されているヘッドフォン「MDR-XB950N1」と基本的な設定内容は一緒だ。サラウンド効果(VPT)の選択はクラブ、アリーナ、コンサートホール、アウトドアステージなどのプリセットから選択。イコライザーは9種類から選択できるほか、5バンドから詳細を調整してカスタム設定値を2件まで保存できる。

 なお完全ワイヤレスイヤフォンのWF-1000Xはこのイコライザー機能のみに対応する予定で、発売後のアップデートによって機能が追加されるという。

音楽がきこえてくる方向をアプリからカスタマイズできる「サウンドポジションコントロール」

 音楽が聞こえてくる方向をカスタマイズできる「サウンドポジションコントロール」も新設される。これは、ヘッドフォンを身に着けた状態で、音がきこえてくる方向を頭外に定位させて前後左右に振り分けられるというものだ。フロント側に設定すると擬似的にスピーカーで聞こえるようなリスニング感を味わえて面白いと思うが、背面側に回り込ませるポジション設定についてはあまり使う機会はなさそうに感じられた。

 これらの充実したアプリの機能をMDR-1000Xでも使えるようになればうれしいところなのだが、残念ながらアップデートによる対応は予定されていないようだ。大庭氏は「内部で重ねて検討してきましたが、ヘッドフォンの内部メモリーの最適化が必要だったり、アップデートファイルの提供方法などについてもユーザーに混乱を招いてしまうことを懸念しているため、提供は見送る予定」と説明している。

WH-1000XM2の特徴

 3つのモデルの特徴を個別に見ていこう。ヘッドフォンの「WH-1000XM2」のカラーリングに目を凝らすと、ヘッドバンドの光沢感がMDR-1000Xよりも高まっているように見える。マットなイヤーカップの質感と対比させて高級感を持たせた。本体のサイズは変わらず。コンパクトに折りたたんでキャリングケースに収納できる。

本体はコンパクトに折り畳める

 フルデジタルアンプの「S-Master HX」は、現行モデルに続いて搭載。付属のケーブルによって有線リスニングを楽しむ際には通常のハイレゾ対応ヘッドフォンとして楽しむこともできる。

 右側のイヤーカップがタッチセンサーを内蔵するリモコンになっており、手のひらをあてがうと一時的に外音を取り込める「クイックアテンションモード」も継承する。Bluetooth接続とノイズキャンセリング機能オン時の連続音楽再生時間は最大20時間から最大30時間に延びているが、DSEE HXオフ設定時の数値になる。10分間のクイック充電で70分間の連続再生ができる。

ヘッドフォンはサイドのフレームに物理キーを配置。右側のイヤーカップがタッチセンサーリモコンになっている

WI-1000Xの特徴

 ネックバンドイヤフォンのWI-1000Xは、高音質設計の「HDハイブリッドドライバー」を搭載している。ユニット構成は「XBA-N1/N3」と同等のBA型ドライバーと、NCイヤフォンのため専用に設計された9mm口径のダイナミックドライバーの組み合わせになる。開発に携わった大庭氏は「パッシブタイプのXBA-N1/N3と同じユニット構成としながら、さらに片側に2つのマイクを搭載して、同じ音響性能と装着性をキープしなければならないというハードルがとても高かった」というが、これをクリアしたことでNC性能と音質、装着性の3つをバランスよく備えるイヤフォンに仕上がった。

 本体から延びるケーブルは、身に着けたときにじゃまにならないようネックバンドの先端からではなく途中から出ている。身に着けてみると首回りに余計なテンションがかからないので、首元がきつくなったり、イヤフォンの重心が後ろに傾かないのがうれしい。ネックバンド部分のスリットにケーブルを収納できるうえ、ペアリングしたスマホに着信があるとバイブレーションで知らせてくれる機能も付けた。付属のUSB/イヤフォン端子変換ケーブルをつなぐと純ハイレゾ対応のイヤフォンになる。

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