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脱「スマホのコンパニオン」 変わり続けるスマートウォッチが目指すもの(2/3 ページ)

» 2018年03月09日 13時39分 公開
[山本敦ITmedia]

 以前、病院で検査したときに不整脈の疑いがあると診断されたことがあり、Apple Watchが定期的に測ってくれる安静時心拍もまめにチェックしている。また普段から「アクティビティ」アプリに歩いたり立ったり、運動を欠かさぬように尻を叩いてもらえることもありがたい限り。立つ習慣をゲーム感覚で身に着けられる「Standland」は筆者のお気に入りのアプリだ。自分の生活にスマートウォッチが役立つ方向性が見えてきてからというもの、もう普通のアナログ時計には戻れなくなってしまった。

 WSD-F20はGPSとWi-Fi機能を内蔵したスマートウォッチだ。Mapboxの地図データを直径50kmの範囲までダウンロードできる機能が特徴で、例えば新しいジョギングコースを走る時のナビとして、あるいは初めて訪れる海外出張先の街を移動する時に参照する地図として大いに役立つ。ジョギングの時には「ゾンビから逃げながら走る」という、まるで映画かドラマの世界に迷い込んだような感覚で楽しめる“ストーリーラン”アプリ「Zombies, Run!」が筆者のマイブームだ。

「ゾンビから逃げる」ストーリーをイヤフォンで聞きながらジョギング(逃走)に没入できるアプリ「Zombies, Run!」
スマートウォッチに表示される「Zombies, Run!」の画面。普通に走行距離や時間をチェックできて便利だ

スマートウォッチはどこまでスタンドアロンで使えるべきか

 Apple Watchは現行モデルのSeries 3からセルラー通信機能が付いた。スマホを家に置いて近所にジョギング、またはちょっとした買い物に出かける時にも電話にメール、SMSがチェックできるのが便利だ。仕事の連絡を待つ都合で、何となく外に出かける足が重く感じられることもなくなった。ただ、Apple Watchだけで受話、通話できる環境は限られている。ワイヤレスイヤフォンをペアリングして身に着けていないとスピーカーからの会話が周囲に筒抜けにならざるを得ないので、街の中や電車に乗っている時などには受話できない。車を運転している時など、外部から遮断される環境ではとても重宝する。

ヘルスケアツールとしても優秀なApple Watch Series 3。ゲーム感覚で毎日のスタンディングエクササイズが楽しめる「Standland」

 Android Wear 2.0ではスマートウォッチとアプリを組み合わせてスタンドアロンでできることが増えた。海外ではサムスンやLG、ファーウェイなどのブランドがApple Watchのようにセルラー通信機能を搭載したスマートウォッチを発売している。筆者もユーザーとして「カシオのスマートウォッチにもセルラー通信機能があれば良いのに」と思う瞬間があるため、カシオ計算機でWSD-F20を担当している風見貴史氏に聞いた。

カシオ計算機でWSD-F20を担当する戦略統括部 時計戦略部 戦略企画室 リスト端末 海外担当マネジャーの風見貴史氏にインタビューした

 風見氏は「WSD-F20は“スマホに代わるもの”ではなく、スマホが使えない状況下でサポートするデバイスという位置付け。スマートウォッチ単独での通信機能を搭載する製品が発売されていることは承知しているが、カシオとしては今後、ユーザーのニーズを見極めながら次期モデルでの対応が必要かどうかを判断していきたい」と話していた。確かに多くのスマホユーザーは今、外出するときには必ずと言っていいほどスマホを持っていくものだ。だからスマートウォッチ自体にセルラー通信機能がないことで大きな不便を感じることは少ないかもしれないし、スマートウォッチはスマホと連携しながら実現する新しく便利な使い道を開拓することに専念すればいいのかもしれない。

 一方、近頃は高い防水・防塵機能を備えるスマホも数多くあるが、WSD-F20は5気圧防水のほか、米国国防総省が規定する耐久性試験「MIL-STANDARD」にも準拠したタフネス設計という魅力を持つスマートウォッチだ。スマホをポケットから取り出せないときには、手首の位置で操作できるWSD-F20の利便性が身に染みて感じられるし、海や川、雪山などでスマホを持たなくてもスマートウォッチだけ携えてスポーツが楽しめるようになれば、さらに多くのファンの期待に応えられると思う。

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