独走するauの「定額制」:
2100円からの定額制――「ダブル定額」を検証する
“定額の先駆者”であるauが、また魅力的なプランを提示してきた。ライトユーザーなら月額2100円(税込)で、ヘビーユーザーなら月額4410円(税込)で利用できる「ダブル定額」がそれだ。実際のユーザーメリットを検証しよう。
“定額の先駆者”であるauが、また魅力的なプランを提示してきた。同社は8月1日から、CDMA1X WIN向けに提供していたパケット定額制サービス「EZフラット」をリニューアル、サービス名を「ダブル定額」に変更する。これによって、“ヘビーユーザーではないがパケット通信をある程度楽しみたい”ユーザーが、気軽に定額制を楽しめるようになる。
ダブル定額――という言葉は、多少の説明が必要かもしれない。簡単にいえば、“2100円”を一つの上限として一定量まで利用できる料金体系と、“4410円”で無制限に利用できる料金体系が1つになった、ということだ。
下のグラフで分かるとおり、ユーザーは4万パケットまでは月額2100円で通信を利用できる(グラフA部分)。4万パケットを超えると、0.0525円/パケットの料金が加算されるが(グラフB部分)、4410円に達すると(8万4000パケット以上)これ以上支払う必要はなくなる(グラフC部分)。
4410円を払えば、無制限でパケットを利用できる点は以前と同様。ただし、そこまで使わないかもしれない、だが定額制は試してみたい……という層(実はここが最も多いのではないか)にとって、極めて導入しやすい料金体系に変わったわけだ。
2100円以上使うユーザーは、即時申し込みを
もう少し具体的に検証してみよう。月額2100円といえば、割引なしの0.21円/パケットで換算すると“1万パケット分”に相当する。
2100円で利用できるのは4万パケットまで。先ほどの逆の計算を行うと、これは8400円分となる。単純に考えて、8400円かかるところが4分の1の値段で済む。つまり、毎月2100円以上(=1万パケット以上)使うユーザーは、ダブル定額に申し込んだ方が間違いなくお得だ。
4万パケットを超えると、今度は0.0525円/パケットで通信料が上乗せされる。もっとも、この従量課金の部分ですら、割引前の4分の1の価格設定。ユーザーの負担する料金は、極めてゆるやかな勾配で上昇していく。
そして、8万4000パケットにあたる4410円に達したところで、料金の上昇は“打ち止め”。あとは10万パケット使おうが、20万パケット使おうが関係ない。このようにダブル定額のグラフからは、どの局面でもユーザーに得になるようにできていることが見てとれる。
さらに、どの料金プランとも組み合わせが可能なため、パケット中心の利用ユーザーにとっては4095円(税込)のプランから組める、うれしい改定だ。
リッチコンテンツが、より身近に
昨今、携帯電話でもリッチコンテンツと呼べるものが多くなってきた。しかし、こうしたコンテンツは定額制を導入するまで、すぐに「何万円」という料金を請求される点が、ユーザーの悩みの種だった。
たとえば、ブロードバンドケータイWINならではの、深夜から明け方にかけて映像コンテンツを配信する「EZチャンネル」は、週1回・1番組配信でも3Mバイトという容量がある。これだけで約2万4000パケットあるわけだから、毎週1番組見ていくと月間10万パケット近くなってしまう。こうなると、もはや0.21円/パケットの料金体系では明らかに手に負えなくなる。
[3×1024×1024](バイト)÷128(バイト)=24576(パケット)
*)128バイト=1パケット |
コンテンツの種類 |
容量 |
50Kバイトのアプリ | 400パケット |
VGA画像(640×480ピクセル) |
約440パケット |
SXGA画像(1280×960ピクセル) | 約1200パケット |
EZチャンネル |
2万4576パケット |
それでは、リッチコンテンツを視聴するには「毎月4410円を払う」しかないのか? この問いに対する答えが、今回のダブル定額だといえるだろう。月額2100円を払ったユーザーは、4万パケットまでは追加料金が発生しないから、様々なコンテンツを試すことができる。
前述のEZチャンネルを視聴するのもいいし、数百キロバイトレベルのコンテンツをいくつか試すのもいい。コンテンツが気にいったなら、そこで初めて存分に定額パケット通信を楽しむ。もちろん、4万パケットでピタリと通信をやめて、通信費を2100円に抑えるユーザーもいるだろう。
もちろん、ダブル定額は既存のEZフラットユーザーにも、手続きなしで8月以降は自動で適用される。「いつもは10万パケット使うが、今月はたまたま通信量が少なかったので、3000円で済んだ」というユーザーも出てくるだろう。
ダブル定額により、ユーザーにとってリッチコンテンツはより身近になった。同時に、通信費をより安く上げることも簡単になった。auユーザーには、多様な「選択肢」と、パケット代のストレスからの解放から与えられた、といえる。
まさに“定額の先駆者”auならではのユーザー発想が、ますます携帯電話の使い方を根本から変えていく、きっかけとなるだろう。
[ITmedia]
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