ソフトバンクモバイル、800MHz帯を用いたLTE実証実験の結果を公表
ソフトバンクモバイルは、800MHz帯や2.1GHz帯を用いたLTEの実証実験の結果を公開した。800MHz帯を使えば、2.1GHz帯に比べて約1.5〜2倍の速度で下り通信が行えることを確認できたという。
ソフトバンクモバイルは7月13日、埼玉県熊谷市において3月から6月まで実施したLTEシステムの実証実験の結果を公表した。
この実験は、800MHz帯や既存の2.1GHz帯を用いたLTEシステムを使って、市街地や開放地などにおける電波伝搬特性や無線伝送特性を比較、評価するのが目的。800MHz帯を使えば、2.1GHz帯に比べて受信レベルが向上し、伝送速度は約1.5〜2倍に速まることが確認できたという。
また、同社が開発した「複数基地局協調制御方式(ECO-LTE)」を用いた実証実験では、1つの基地局がカバーするLTEエリア(セル)の境界部分において、約2〜3倍の大幅な伝送速度の向上を達成した。セルの境界はほかの基地局からの電波干渉を受けやすい部分だが、ECO-LTEは隣接する基地局(セクター)が協調制御することで基地局からの信号送信を停止して電波干渉を防いでいる。また、LTE対応基地局装置に制御ソフトウェアを追加するだけで実現できるため、対応端末の仕様を変更する必要がないのも特徴だ。
さらに、第4世代(4G)の携帯電話システムとしてITUが策定した「IMT-Advanced」に向け、隣接する基地局(セクタ)が協調し、両方の基地局から同時に1つの端末に同一信号を送信する「複数基地局間協調送信技術」の基礎実験も併せて行われた。この実験では、セル境界において伝送速度が約3〜5倍向上することを確認している。
ソフトバンクモバイルでは、今回の実証実験を通じて取得したノウハウや測定データを活用することで、商用サービスに向けた準備をさらに進めるとしている。
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