「若者」「女性」にも広がり始めた格安SIM――2016年上半期のMVNOサービスの動向を振り返る(2/3 ページ)
従来は「40代男性」「データプラン」を中心に普及してきたMVNOサービスだが、女性ユーザーの増加、音声通話プランの契約者増加など変化が出てきた。「タスクフォース」後は、どのような状況になったのだろうか。
購入場所:Web通販やMVNO直営店での購入が増加傾向
MVNOサービスの販路は、その初期段階ではWeb通販が中心だった。しかし、ユーザー層の広がりに伴い、家電量販店での販売が増加し、果ては直営ショップを展開するMVNOも登場している。
2016年5月の調査に参加した1311人のMVNOサービスのユーザーのうち、およそ半数が1年以内に購入(契約)したという調査結果を見ると、販路の拡大はユーザー層の拡大にもつながったといえるだろう。
では、肝心の購入先はどうなっているのか。先述の1311人のうち、合わせて74.5%がWebサイトから購入しており群を抜いている。その中でも、Amazonを始めとするWeb通販での購入が伸びているという。吉本社長は「(格安SIMの)情報が増えてきて、Amazonで買うと初期費用(事務手数料)が安いということが浸透してきているのではないか」と分析する。
一方、家電量販店での販売比率が若干減った分、MVNOの直営ショップでの購入比率が増えているという。より詳しい説明を受けやすい直営ショップに対するニーズがそれなりにあることをうかがわせる。
端末:8割がスマホで利用 端末は「iPhone」「Xperia」「ZenFone」が人気
MMD研究所の格安SIMに関する調査では、MVNOサービスと組み合わせて使う端末についても質問しており、調査対象の8割前後がスマートフォンで使うという結果が毎回出るという。2016年5月の調査でも、調査参加者の80.8%がスマホでMVNOサービスを使っているという結果となった。
スマホで利用している人だけを抽出して使っている端末を尋ねたところ、iPhoneシリーズが22%とシェアが一番高かった。MNOにおける端末販売シェアと比較すると率は低いが、一番人気であることには変わりない。「iPhoneでも格安SIMを使える」ということがある程度浸透してきたことも一因だろう。
iPhoneに次いで人気だったのはソニーモバイルコミュニケーションズのXperiaシリーズで16.5%、3位にはASUSのZenFoneシリーズが13.4%と続いた。その他、富士通(現・富士通コネクテッドテクノロジーズ)のarrowsシリーズやプラスワン・マーケティングのFREETELブランドのスマホもシェアを伸ばしているという。
スマホ利用者の端末シェア(シリーズ別)では、iPhone、Xperia、ZenFoneが上位を占めた。その他、富士通(現・富士通コネクテッドテクノロジーズ)のarrowsシリーズやプラスワン・マーケティングのFREETELブランドのスマホもシェアを伸ばしているという
関連記事
- 「音声SIM」を「端末セット」で――女性の「格安SIM」ユーザーの傾向
MVNOが提供する、いわゆる「格安SIM」は男性ユーザーの割合が高い傾向にある。だが、少しずつではあるが女性ユーザーも増えてきている。購入の傾向には、有意な男女差が見られるようだ。 - 女性は「格安SIM」に“不安”を覚える? MVNO2社が語る普及への課題と解決法
認知度の高まってきた感のある格安SIM。しかし、その購入者の多くは男性で、女性はまだ少ない。“不安”がつきまとうからだという。どのような不安が、阻害要因となっているのだろうか。 - 2015年度のスマホ+タブレットの出荷台数は過去最多の3794万台に
ICT総研は「2016年度 スマートデバイス市場動向調査」の結果を発表。2015年度のスマートデバイス出荷台数は年度ベースで過去最多の3794万台となり、タブレットの出荷台数予測は2016年度に951万台とPCの出荷台数に並ぶ見込み。 - MM総研、国内MVNOの利用状況を調査――「価格が高くてもキャリアの方がよかった」は少数
MM総研は、国内MVNOの利用状況に関する調査結果を発表。利用者の満足度は62.7%、推奨意向は67.9%で、「価格が高くてもキャリアの方がよかった」は少数にとどまった。 - シニア層の格安SIMユーザーは7.2%――MMDの調査
MMD研究所は、60〜79歳を対象とした「シニアのスマートフォン、タブレットの所有に関する調査」を実施。スマートフォン所有率は38.5%で、2015年より10.7ポイント増となった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.