コラム
» 2004年01月19日 20時14分 UPDATE

ソニーによって生かされるアイワのDNA (1/2)

ソニーカラーではないソニーブランド「アイワ」が再出発のキーワードに選んだ「USBオーディオ」。元オーディオメーカーとしての意地は、その「音」作りに発揮されるか?

[小寺信良,ITmedia]

 1月14日に行われたアイワブランドのプレス発表会直後から、先週のニュースはまさにアイワウィークの様相を呈した。老舗オーディオメーカー再出発の経緯に、多くのメディアが興味をそそられたものと思われる。またInternational CES 2004終了直後というタイミングも、ニュース枯れしたタイミングでちょうど良かったこともあるだろう。そして今回の製品発表をもって、いよいよ「ソニーカラーではないソニーのブランド」という存在の是非を、製品によって問うタームに入ったことになる。

 ソニーが吸収合併後もアイワの名前を残してビジネスを行なうわけは、そのブランド名に価値があると見なしている点が1つ。特に東南アジア、中南米、中東、東欧といった、ワールドビジネスのメインストリームからちょっと外れた地域におけるアイワのブランドイメージは、ソニーのそれを凌駕する。これをみすみす捨てる手はない、というわけだ。

 だがこのブランドの国内的な意味は、若干違ってくる。ブランド名存続のもう1つの理由は、50年の歴史を持ち、一枚岩として結束が堅い旧アイワ社員のモチベーションを下げたくない、というところもあるだろう。単に技術や工場などの資産を引き上げるだけならば、国内にまでブランド名を残す必要などない。

 そんなアイワチームがソニー内の1ブランドとして再出発のキーワードに選んだのが、「USBオーディオ」である。言葉としてあまりにも新鮮味の薄いソリューションに、多くの人がとまどいを隠せないのは事実だろう。

市場から若干ズレたMP3プレーヤー

 具体的に製品を見ながら話を進めていこう。まず今回の製品群の中心に位置するのが、“pavit”(パビ)というUSBストレージメディアだ。現在USBメモリは、多くの人が利用していると思われる。PCショップの店頭でも、もはやさほど目新しいメディアでもなくなってきた。

ai_kodera01.jpg 単体売りされるpavitは128Mバイトと256Mバイトのみ

 一般的なUSBメモリと、pavitとの違いを考えてみよう。USBメモリは、PCに差して使うものである。いやこんな当たり前のことをなんで今さら言うのかというとだな、よく考えてみてほしい。例えば、あなたの持っているデジカメにUSBメモリを直結して、認識するだろうか? いやコネクタの形とかそういう意味ではなくて、機能的にである。

ai_kodera02.jpg pavitを直接差して使うデジカメ「AZ-C7」。ホールド感は悪くない

 普通のUSBメモリは、PCに差してコントロールしてもらわないとメモリとしての役を果たさない。だがpavitはUSBメモリの形をしていながら、今回発表されたデバイスに直接差して使うことができる。すなわちこれは、プリンタにUSBでデジカメがつながるみたいなUSB OTG(USB On The Go)的世界観に乗っかった、比較的新しいソリューションだと言える。

 世界規模で見れば、MP3プレーヤー市場は堅調だ。特にメモリベースのプレーヤーは年々容量が増え、昨年から今年にかけて1.5Gバイトや2Gバイトといった製品も登場しつつある。この市場を支えているのは、主に韓国と台湾のメーカーだ。MP3プレーヤーのような独特のチープさや特異感みたいなものを醸し出すガジェットは、他にはあまりない。逆に言えば、この感じを受け入れられないと、MP3プレーヤーは楽しめないようなところがある。

 だが最近日本のMP3プレーヤー市場は、メモリベースから一気にHDDベースへと興味の対象が移ってしまった。Appleの「iPod」が火をつけ、東芝の「GIGABEAT」、RIOの「KARMA」などが追従する。元々国内では、アルバム1枚程度の音楽を持ち歩けばいいやというニーズに対しては、MDやCDプレーヤーが普及している。同程度しか記録できないメモリ型プレーヤーに移行する必然性は薄く、それ以上を持ち歩きたい人がHDDベースのプレーヤーに流れている。

 この流れから見れば、アイワのMP3プレーヤーはメインストリームから若干外れたところにある。メモリ上限は今のところ256Mバイト、いくら入れ替えできるとは言っても、1個1万1000円前後の256Mバイトpavitをそうそう買うものだろうか。MP3プレーヤーのメモリは例え取り外しができたとしても、基本的にはハメゴロシであると思うのだが。

ai_kodera03.jpg USBメモリープレーヤー「AZ-ES256」。4色のカラーバリエーションがある

 HDDプレーヤー「HZ-WS2000」にしてもしかりである。2Gバイトという容量は、ヘタすればメモリベースでも実現できるサイズとあって、HDDベースで3万5000円という価格から見れば物足りない。「世界最薄」という付加価値は、これで20Gバイトというなら驚いちゃうが、桁1つ少ないとあっては、そのインパクトも帳消しになってしまうのである。勝ち組である「iPod mini」でさえ同価格帯で4Gバイトなのに、後発で参入するならばもうちょっと競争力がほしい。

ai_kodera04.jpg 世界最薄のHDDプレーヤー「HZ-WS2000」

 元々HDDプレーヤーは海外製品主導でありながら、現状ですでに十分小型だ。「世界最薄」とか「世界最小・最軽量」といったタイプの商品付加価値はもはや20世紀の遺物であり、我々の中では既に魅力を失っている。今や最初からある程度小さかったり薄かったりはデフォルトなのであり、機能を削ってまで世界一を目指す意義はない。

「怪しくない」MP3の世界はアリか

       1|2 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -