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Itaniumはムーアの法則を超えて進化する

» 2004年01月23日 19時16分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 インテルは1月23日に、Itanium 2やXeonなどエンタープライズ向けプラットフォームに関する事業展開の説明会を行った。先日米Intelが行った同種の説明会や「IA-32 Execution Layer」(IA-32 EL)の発表に準じた内容となっている。

 インテルのエンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部本部長の町田栄作氏は、2003年のエンタープライズ事業について「インテルのエンタープライズ市場戦略の節目の年」と振り返り、「32ビットのXeonシリーズを強化し、Itaniumの第三世代となるItanium 2の投入と成功によって、金額ベースでIAサーバシステムがRISCをついに上回った」と説明した。

 「XeonとItaniumの出荷数量は過去最高となり、パフォーマンスもTPCなど主要な八つのベンチマーク36項目で第1位となった。また、OSやチップセットなどのプラットフォーム、データベース管理システムや業務用アプリなど、Itanium 2やXeonが確実に動作するプラットフォームが存在することも、普及が進んだことに貢献している。」(町田氏)

Itanium 2が成功した要因とインテルが考える主要項目。プラットフォームの整備、コストパフォーマンスの改善によるTCO削減、豊富な対応OSやソフトウェアの存在、そして将来のロードマップが明確であることの安心感が相互に影響して、多くのユーザーの支持を得られたと、インテルは説明する

 この好調な2003年の業績をうけた2004年の目標として町田氏が掲げたのは、今までも繰り返し述べられてきた「リーダーシップの強化」「融合に向けたアーキテクチャ」「ワールドワイドのビジネスチャンス追求」。「300ミリウエハーと90ナノプロセスをどんどん出荷する。また、Intelの強みでもあるロジックメモリの製造テクノロジーをさらに進化させ、チップのコンバージェンスを携帯電話やPDA向けのプロセッサで推進していく」(町田氏)

 町田氏は、先日JEITAから発表された「出荷台数は伸びるものの出荷金額は減少」していく、サーバも含めた今のPC市場にも言及。「IT関連投資がホストからIAにシフトしてTCOが減少していく流れはこれからも変わらない」と投資金額が減少していく現状を認めたうえで、「IT関連ベンダーは“道具としてのIT”に対する投資というものをアピールしていかなければならない。目的でなく手段としてのITにこそ、ビジネスのチャンスがある」と述べ、製品だけでなく一貫して利用してもらえる付加価値のあるソリューションを提供していく必要性を強調した。

投資金額はこれからも減少していく状況で、インテルが考える「2004年の展望」とは、単なる製品ではなく付加価値の高いソリューションをユーザーに提供していくことである

 続いて登場した同社小山信寛氏(エンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部プラットフォームマーケティング部長)からは、2004年に登場が予定されている製品について、より具体的な説明が行われた。

 すでに米Intelから発表されているように、2004年にはL3を4Mバイトに拡張したXeon MPや機能強化版Xeon DP、4Wayブレードサーバー向け「McCarran」が第1四半期に登場する予定。また、第2四半期に登場するXeon DP「Nocona」対応のチップセット「Lindenhurst」「Tumwater」では、FSB800MHzやPrescottで採用される新しいPNI命令がサポートされる。さらに、2005年にはXeonでも仮想化技術やデュアルコアへの対応が予定されている。

 Itaniumファミリーは2005年のマルチコア実現に向けて、その最適化作業が2004年に進められる予定。「マルチコアの採用やマルチスレッドへの対応によって、Itaniumファミリーはムーアの法則を上回るスピードで性能を向上させるだろう」(小山氏)

Itaniumファミリーは、マルチコアアーキテクチャの採用でムーアの法則を超えるペースで進化する

 ソフトウェアによってItanium 2でもIA-32互換動作をさせるようにする「IA-32 Execution Layer」(IA-32 EL)については、現状で1.5GHz動作のXeonに相当するIA-32モードのパフォーマンスが、今後のItanium 2の拡張、動作クロックの上昇によってネイティブの70%まで上昇するとインテルは説明している。

 「ソフトウェアによるエミュレーションは、パフォーマンスの向上以外にも、Xeonに新しい命令セットが追加されても随時対応できるメリットがある。現在はハードウェアによるエミュレーション機能を実装しているが、将来的にこの機能を廃止してソフトウェアのみに移行する予定もある」(小山氏)

 なお、Windows以外のOSで動作するIA-32 ELについては、RedHatが今年中にパッケージに同梱する形での出荷を予定していることと、SUSEも2004年に対応を計画していることを明らかにした。

インテルはItanium 2のコストパフォーマンスがRISCを上回っており、トランザクション処理ではXeonのコストパフォーマンスも超えていると評価している。「ItaniumファミリーとXeonファミリーで、コストストラクチャーにおいて逆転現象が起こっている」(町田氏)

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