通信業界・禁断の謎に迫る(前編)
クローン携帯の可能性(1/2 ページ)
「クローン携帯」――。その名前は、昨年あたりからしばしばマスコミを騒がせている(関連記事その1、その2)。
名前ばかりが先行してしまい、実態がいまひとつつかめない印象だが、果たしてそれが存在する可能性はあるのだろうか?
まず断っておくと、携帯電話もしょせんは、無線機にそれを動かすコンピュータが付いたものに過ぎない。多少の技術をかじった人であれば、OSの部分をいじってパッチしてやれば、他人の電話番号で着信/発信ができるようになるくらいはあり得る話だと、考えてしまうだろう。――結論からいえば、私もそう思う。
クローン携帯の歴史は古い
その昔、携帯電話がまだ「自動車電話」といわれていた頃から、いわゆる“クローン電話”は存在した。
当時の自動車電話は、「μPD403D」というヒューズROM(ヒューズを電気的に焼き切ることで、プログラムを書き込む素子)に固有の電話番号を書き込み、それをID-ROMと呼んでいた。そして、私の知る限りこれをハッキングし、勝手に番号を変える行為は存在した。
もっとも、その後携帯電話の小型化+高集積化は進み、素人がうかつに手を出すことができないものとなった。ID-ROMそのもの姿を消したため、ID-ROMをソケットから抜いて、ROMライタでデータを書き込む……といった手法も使えなくなった。
しかし、まだ手は残されている。例えば通常、携帯ショップに行って新端末を購入し、従来使用していた端末の電話番号を書き込んでもらう場合を考えてみたい。
この場合、ショップの人間は電話会社の専用端末に接続して、番号の書き直しを行う。この書き直しをする機械が特別かといえば、そうでもない。通常のPC(NTTドコモに限っていえば、FMVだったりする)のCOMポートから、専用のレベルコンパレータを接続して書き込むという方法だ。唯一違うのは、そのPCはネットワークを通じて管理されているというくらいだ。
ここで、PCの扱いに長けた人なら、当然思いつくのが「CD-ROMによるバックアップ」。例えば、ショップの人間がアプリケーションを丸々コピーし、個人宅に持ち込めば、十分に作動する可能性はある。あとは、ネットワーク接続の部分をパッチしてやれば、“パーソナルキャリア”の出来上がりというわけだ。汎用のマシンを使っている以上、不可能とはいえないだろう。
現在、携帯電話の機種変更をするには、2000円、3000円の費用がかかる。しかし、たかだが数Kバイトのデータを移すだけで、こんな金額を取られているのは高いのではないだろうか? ……こう考えた人間が、上述の悪事を働くことがないともいえないだろう。そして、内部の人間が持ち出したアプリケーションが、流出する事態もないとは言い切れないのだ。
クローン電話は違法 クローン携帯を利用する行為は、当然ながら多くの問題をはらむ。おそらく、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(不正アクセス禁止法)に抵触する可能性が高いだろう。 同法では、他人のIDやパスワードといった「識別符号」を悪用してネットワークにアクセスすることを、「不正アクセス行為」と定義している。ほかのユーザーの番号を端末に書き込むという行為は、これに当たると解釈され得る。 また、携帯電話といえども「無線機」であることに変わりはないから、“改造無線機を利用する”ことは電波法違反となるだろう。「ちょっと技術上の検証をしたかった」などという言い訳は、通用しない。
クローン携帯はちゃんと動くか?
ここで気になるのは、何らかの方法で製造されたクローン携帯が、ちゃんと動くのかという点。動かない理由として、よく指摘されるのは、「クローン携帯の存在はネットワーク上で把握できる」ということだ。
次ページ:キャリアのネットワーク検知は十分か?
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