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デジタル化シフトが顕著――2008年までのAV需要予測

» 2004年02月05日 22時20分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 電子情報技術産業協会(JEITA)は2月5日に都内で講演会を実施し、2008年までのAV主要品目の需要展望を語った。今回の需要展望は、JEITA電子機器予測・統計専門委員会のAV機器メーカー19社で構成する「AV世界需要予測WG」が予測を行ったものがベースとなっている。

 売上げ規模でAV市場をけん引するカラーTV分野。だがその市場(全世界)は、2002年が1億3058万台(対前年比104.3%)、2003年が1億3070万台(同100.1%)とほぼ横ばいで推移している。

 ただし、従来のCRT中心から、液晶TVやプラズマTVといったフラットパネルTV(FPT)の需要が大幅に拡大するなど、その中身では世代交代が活発化。カラーTV全体に占めるFPTの比率も、2002年の1.3%から2003年には約3%にまで増えている。

 「カラーTV全体では2004年以降も微増もしくは横ばい傾向で推移するだろうが、FPTが増えてCRTが減少するという流れは今後さらに加速化する。その構成比も、CRTが2003年の94%から2008年には75%にまで下落するのに対して、FPTは2008年には22%にまで拡大するとみている」(JEITA)

mn_mn_jeita1.jpg 全世界のカラーTV総需要予測

 日本は特にTVのフラットパネル化が先行しており、2003年には構成比で約17%に到達。2004年には3割を超え、2008年にはTV全体の約8割がFPTになるとJEITAでは予測している。「また、大型TVではプロジェクション型の人気が高い米国でも、徐々にFPTへのシフトが進むとみており、欧州でもサッカーワールドカップ効果や環境重視の考えからFPTへの移行が順調に進む」(JEITA)

 FPT急伸の原動力となっているのが「液晶TV」。量産効果で低価格化が進んだ2001年から急速に需要が拡大し、2003年には世界需要が279万台(対前年比230%)と大きく伸びた。この旺盛な需要を支えているのが日本市場で、2003年は124万台と全世界の液晶TV需要の約4割を日本が占めている。サイズ的には中・小型が中心だが、30V型以上のラインアップも充実し始めており、メインTVの置き換えも始まっている。

 「今後は20V型以上の構成比が増えるなど大型化が進展し、メインターゲットは30V〜40V型に移行していくだろう。全世界での市場規模も2006年には1000万台を超え、2008年には2003年の8.5倍となる2370万台に達すると予測した」(JEITA)

mn_mn_jeita2.jpg 液晶TVの地域別構成比

 FPTもう1つの雄である「プラズマTV」も、2003年には全世界で99万台(対前年比234.7%)と需要拡大期に突入。50V型以下は低価格化が進み、液晶TVには真似のできない60V〜70V型といった大型サイズの開発も急ピッチで行われている。大型化に有利なプラズマTVは特に欧米で人気が高く、サイズも今後はホームシアター需要を見込んだ50V型以上の伸びが期待される。

 「プラズマTVの地域別構成比は、2003年には米国と西欧が日本を抜いている。今後も、30V型以上の大画面TV市場が格段に大きい欧米を中心に推移するだろう。世界需要は年平均51.5%の伸長率で拡大し、2008年には790万台に達するとみている」(JEITA)

mn_mn_jeita3.jpg プラズマTVの地域別構成比

 そのほか、録画再生機も2002年にVTRとDVDの構成比が逆転するなど全世界にVTRからDVDへの置き換えが進んでおり、2008年のJEITA予測ではDVDが8464万台にまで拡大。またビデオ一体型カメラも2008年にはデジタルタイプの構成比が93%になると予測するなど、全世界的にアナログAV機器のデジタル化が加速して「マーケットの世代交代」が進むとJEITAは述べている。

 「今回の2008年までの予測を年平均伸長率(CAGR)の順で並べてみると、FPT、カーナビ、DVDといったデジタル化製品が上位にきて、VTRやヘッドホンステレオといったアナログ機器が下位にくる。このように、今回の調査から“アナログからデジタルへ”という流れが明確になった。AV機器は世界的に飽和状態となっている。市場自体の大幅な拡大が期待できないだけに、市場のニーズを的確に捉え、高い技術力で魅力ある新規製品を作ってユーザーに提供していくことが市場の活性化につながる」(JEITA)

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