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女性が平日の昼間に遊ぶ“連ドラ”MMORPG――「ダイナスティア」(1/2 ページ)

» 2004年03月25日 08時00分 公開
[岡田有花,ITmedia]

初の女性向けのMMORPGとして昨年登場した「女神幻想ダイナスティア」(発表時の記事参照)だが、ユーザー数が伸び悩み、スポンサーが昨年末に撤退。現在は、複数企業からサーバの提供などを受け、ボランティアスタッフが運営中だ(関連記事参照)。3月22日からは、これまで8800円だったクライアントソフトを無料化、利用料も無料にした。

 「ラグナロクオンライン」が40万人以上の会員を集めるなど、日本でもMMORPGがようやく盛り上がってきた。その一方、ダイナスティアは“世界最弱のオンラインゲームプロジェクト”として少数のボランティアスタッフが女性向けMMORPGというユニークな試みに取り組んでいる。同ゲームのディレクター・石山隼行さんと、プロデューサーで漫画家の桃木毎実さんに、女性専用ゲームを開発したねらいや、無料化の背景を聞いた。

MMORPGは若い女性と相性がいい

 「ネットゲームの多くはユーザー同士が戦って競い合い、強いものだけが生き残って楽しめる弱肉強食の世界。初心者が途中参加しても楽しめない。しかし、ユーザーの底辺となる初心者層を多く取り込まないと、ネットゲーム市場自体が先細る」――こう考えた石山さんは、「殺し合いや競争がなく、初心者でも仲良く楽しめるネットゲーム」を目指して開発を始めた。

 ターゲットは20代後半から30代前半の女性だ。小さな子どもがいるために気軽に外出できない主婦や、仕事が終わる時間にはデパートや喫茶店などが閉まっていて、娯楽に飢えているキャリアウーマン層をねらった。

 女性の多くが、長電話やメール、おしゃべりといったコミュニケーションが大好きなこともターゲットに選んだ理由。「多くの人と出会い、コミュニケーションできるMMORPGは、女性と相性がいい」(桃木さん)。

photo ゲーム内ではユーザー同士が自由におしゃべりできる

 ゲームには美少年キャラが多数登場。ユーザーは、彼らが困っているところを助けたり、プレゼントを贈るなどして好感度を上げると、彼らと親しくなれる。しかし、彼らはあくまでも雲の上の存在で、恋人同士になって独占することはできない。これがこのゲームのミソで、「好きなアイドルや俳優について、女の子同士で楽しくおしゃべりする、そんな場をバーチャルの世界で再現した」(桃木さん)。

photo 美少年キャラが多数登場

 当初の想定通り、現ユーザーの多くは20代後半から30代前半の女性。主婦も多いため「主婦が比較的手が空いている平日の昼間や深夜が一番混んでいて、家族サービスに忙殺される土日は空いている」という、他のオンラインゲームとは違ったサイクルが生まれた。

 敵を倒したり、美少年キャラを独占することが目的ではなく、ユーザー同士でコミュニケーションして仲間を広げ、おしゃべりでストレスを発散する──これがこのゲームの楽しみ方だ。ストーリーも豊富に用意され、毎週更新される。「自分が参加できる、連続ドラマのようなゲーム」(石山さん)。途中からの参加者でも十分に楽しめるよう、ストーリーには流れを持たせながらも、1話完結的な構成にしてある。

 また、ゲーム上で自分のキャラにさまざまな服を着せておしゃれを楽しむこともできる。洋服パーツは数多い上、大きさを変えたり、回転させられるため、コーディネートは無限。月1回のペースでファッションショーも行っており、ファッションリーダー的なユーザーもいるという。

photo キャラクター作成画面
photo 月1回、ゲーム上で行われる「ファッションチェック」の様子

「ユーザー定着率は通常の5倍」ながら……

 クライアントソフトを購入した人のうち、定着したのは約半分。「定着率は一般的なオンラインゲームの約5倍」(石山さん)。一度遊んだ人には好評で、複数のファンサイトも誕生した。ところがユーザー数は伸び悩む。

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