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日立、プリンタ事業をリコーに売却

» 2004年03月31日 16時32分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 日立製作所は3月31日、プリンタ事業をリコーに売却すると発表した。リコーは、日立が実績を持つ基幹系プリンタをラインアップに加え、成長の柱として位置付ける企業向けプリンタ事業を強化する。

photo リコーの桜井正光社長(左)と日立の庄山悦彦社長

 10月、日立グループでプリンタ事業を展開する100%子会社の日立プリンティングソリューションズ(日立PRS)グループの全株式をリコーに譲渡する。譲渡金額は未定。日立PRSの2004年3月期売上高(見込み)は約600億円、利益率は「4%程度」(日立・庄山悦彦社長)。

 ブランドはリコーに一本化する方針。経営陣は留任し、従業員の雇用条件も当面は現状を維持する。

 日立は2003年に発表した中期計画で、情報通信事業などに集中する方針を明らかにしていた。日立PRSはグループのプリンタ事業を集約して2002年に10月に設立した。

 日立の庄山社長は同日、都内で開かれた会見で、「日立PRSの事業は好調であるとはいえ、世界市場ナンバーワンを狙う競争力はまだない。ブランド力があり、技術面でも補完できるリコーに譲渡するのが勝ち残るために最善だと判断した。日立が40−50%程度出資する合弁も考えたが、100%譲渡したほうが、早期のシェア拡大を狙える」と譲渡に踏み切った理由を説明した。

 リコーの桜井正光社長は「企業向けの基幹系プリンタは、ホストコンピュータのダウンサイジングに連動した小型化と分散化が進行し、基幹系プリンタがオフィスプリンタと融合し始めた。これまでリコーはオフィスプリンタ事業に集中してきたが、基幹系にも本格参入する必要があると判断。基幹系に強い日立PRSの技術力が必要だった」と買収に至った理由を説明。「高速プリンティングと小型化に強い日立PRSと、中低速プリンティングに強いリコーの技術は補完関係にある」と、買収による相乗効果を強調した。

 「IT化の進んだOA機器市場は、他業種からの参入が相次ぎ、リコー1社だけでは勝ち残るのが難しい。これからも買収や合弁などには前向きに取り組む」(桜井社長)。リコーは今回の買収によってプリンタ事業を強化し、業界のガリバーである富士ゼロックスを追撃する。

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