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中国政府、Chinese Wikipediaへのアクセスを遮断

» 2004年06月15日 17時06分 公開
[IDG Japan]
IDG

 中国政府が同国のインターネットユーザー向けオープンソース百科事典「Chinese Wikipedia」へのアクセスを遮断していることを、同サイトの複数の寄稿者が伝えている。

 Chinese Wikipediaは、オンライン英語百科事典「Wikipedia」の中国語版。Wikipediaは数カ国語のバージョンが提供されており、匿名のビジターを含め、誰でも編集に参加できる。中国語版も含めてすべてのバージョンのWikipediaでは、全項目について中立の視点を取る方針とGNU Free Documentation Licenseを採用している。

 Chinese Wikipediaはこれまで当局に遮断されたことはなかったが、6月3日に同サイトのアクセス遮断が始まった。6月4日は天安門事件の記念日であり、中国政府は毎年この日に向けて反体制派を取り締まり、検閲を強化する。

 ある寄稿者は、記念日を前にこの事件に関する項目への寄稿者の関心が高まっていたことを指摘し、4日に先駆けてアクセスが遮断されたのは意外ではないとしている。

 13日にはWikipediaの全バージョンにアクセス遮断が広がり、中国当局は14日午後に、中国語版と英語版にアクセスできなくなっていることを認めた。

 遮断を撤回させるために打つ手はほとんどないと寄稿者たちは懸念している。Menchiと名乗る寄稿者は「見通しは暗い。寄稿者たちは、アクセス遮断が撤回されるか、永久に続くか様子を見ているところだ」と語る。

 アクセス遮断が続けば、Chinese Wikipedia拡大に向けた取り組みは頓挫するかもしれない。同サイトの定期寄稿者は約100人、収録項目数は英語版の28万3000件には遠く及ばないが、5月半ばの9000件強から1万915件へと急速に拡大している。

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