ITmedia NEWS >

Novell、12年越しの特許訴訟が終結

» 2004年08月20日 18時03分 公開
[IDG Japan]
IDG

 ロジャー・ビリングス氏は、NovellにLANのプランを盗まれたとして約10年前に起こした訴訟を断念した。同氏はその代わりに、水素燃料電池の製造と、モルモン教分派Church of Jesus Christ in Zionにおける役目に目を向けている。

 12年前の1991年12月、元ユタ州民のビリングス氏は、NetWareを所有するNovellに対して特許侵害訴訟を起こし、2億2000万ドルの支払いを求めた。複数のマシンを1台のファイルサーバに接続し、通信やファイル共有ができるようにするというアイデアをNovellに奪われたというのがその理由だ。同氏は、NovellのNetWareが自分の会社Billings Computersに6250万ドルの損害をもたらしたと主張していた。

 NetWareファンの間で話題になったこの訴訟で、ビリングス氏は、ブリガム・ヤング大学(BYU)でクライアント−サーバコンピューティングのアイデアを披露した際、デモを見たNovellの「SuperSet」設計チームのメンバーがそのアイデアを奪ったと申し立てた。ユタ州プロボにあるBYUは、Novellのオフィスにほど近い。

 クライアント−サーバコンピューティングのアイデアで、1987年に「機能的に分散構造を取るデータ処理システム」の特許を取得してから6年後、ビリングス氏はNovellの顧客だったBank of Americaと12万5000ドルで和解した。同氏は100台のNetWareサーバを利用していた同行を、自分の技術を使っているとして提訴していた。Novellはビリングス氏との和解を拒否し、裁判所は訴訟の却下を求めるNovellの要求を退けた。

 Novellはビリングス氏の主張の信頼性を揺るがそうと、同氏がモルモン教の初期の教えである一夫多妻制を信仰している証拠を挙げた。同氏は、一夫多妻制に関する小冊子を書いたことはあったが、Church of Jesus Christ in Zionの預言者として、司教として、それを実践したことはないと主張した。同教会は、末日聖徒イエス・キリスト教会(一般にはモルモン教と呼ばれる)の分派であり、ユタ州ソルトレークシティを本拠とする。

 Novellはまた、ビリングス氏が、別のモルモン教分派Reorganized Church of Jesus Christ of the Latter Day Saintsの本拠地であるミズーリ州インディペンデンスに設立した大学についても疑問を投げかけた。ビリングス氏はギガビットイーサネット企業WideBandの創設者兼社長でもある。

 Novellは、先行技術を根拠にビリングス氏の主張に異を唱えた。同社がNetWareを発表した当時、XeroxやDatapointなどほかの企業もネットワーキングに取り組んでいた。

 今年5月にワシントンD.C.の米連邦巡回区控訴裁は、Novellに対するビリングス氏の申し立てを退けた。同裁判所は、同氏の特許を無効にするとの米特許商標局の裁定を支持し、NovellにNetWareの販売継続を認めた。

 ビリングス氏は米最高裁に上訴することもできたが、報道によると、上訴はせずにWideBandの仕事に集中し、化学工学専攻の院生だったときに始めた水素燃料電池車の研究を続け、Church of Jesus Christ in Zionに力を入れることにしたという。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.