ニュース
» 2004年09月06日 14時49分 UPDATE

小企業が取得した「包括的なリモート管理特許」の使い道は……?

小企業Expand Beyondが取得した特許は、ワイヤレスデバイスによるシステム監視・管理技術を広く網羅する。同社は特許の用途を明かしていないが、ライセンス料の徴収に利用する可能性も。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 データベースの遠隔管理ツールを手がける米Expand Beyondが、ワイヤレスデバイスによるコンピュータシステムの監視・管理技術に関する広範な特許を取得した。同社が9月3日明らかにした。 

 Expand Beyondは、先月米特許商標庁(USPTO)から認可されたこの特許の用途をまだ明らかにしていない。他社からライセンス料を徴収するために利用する可能性もある。あるいは、こうした特許によりExpand Beyondのような小さな非公開企業が、より魅力的な買収ターゲットになるかもしれないとある特許弁護士は語っている。

 特許状の説明には、「いつでもどの場所からでもシステムを監視、更新、および修正可能な携帯および(あるいは)ハンドヘルドデバイス上で、コンピュータシステム、ネットワーク、ソフトウェアシステム、あるいはデータベースをワイヤレスで監視および管理するためのシステム、手法、および装置」とある。

 さらに特許状では、PDAあるいはその他のモバイルデバイスの画面に集められた情報の書式および表示手法についても説明している。この特許では46の請求事項が認可されており、「今日のモバイルビジネスソフト業界における最も包括的かつ広範囲を網羅した特許の1つ」とExpand Beyondは発表文の中で述べている。

 米イリノイ州シカゴに本拠を置くExpand Beyondは、「PocketDBA」製品で最も良く知られている。この製品を使うと、データベース管理者(DBA)は、仕事場を離れていても担当するサーバを監視できる。このほか同社はモバイルアプリケーション開発ソフトも提供している。

 今回取得した特許は、Expand Beyondがこの分野で主導的立場にあることを証明するものだと同社は主張している。同社がPocketDBAの開発に着手したのは1999年。当時、ワイヤレス機能を持つPDA製品は「Palm VII」のみで、Research in Motionの人気製品「Blackberry」の登場はそのずっと後のことだ。

 その後ワイヤレス機能搭載PDAの市場は急拡大を遂げ、Expand Beyondの特許が価値ある資産になったと、同社の創設者兼CEO(最高経営責任者)アリ・カプラン氏は語っている。

 「私がこの特許に胸躍らせているのは、データベースに関することだけではない。これはデータベースやアプリケーションからサーバ、ネットワークに至るまで、人々がワイヤレスデバイスから監視・管理したいと考えるすべての要素を網羅するものだ」(同氏)

 USPTOはここ数年、あまりにも短時間に広範な特許を認可しすぎており、その結果、訴訟をいたずらに増やし、また他社による関連市場への進出を阻む可能性があるとの批判を受けている。Meta Groupの産業アナリスト、チャーリー・ゲリー氏は、Expand Beyondがこの特許を今後どう活用していくかによって、同社に対する評価は分かれるだろうと語っている。

 DBAの経験を持つゲリー氏は、PocketDBAのようなツールの需要が高まるかどうか確信を持っていない。「『このワイヤレス監視製品について是非とも知りたい』と問い合わせてきた顧客はこれまで1人もない」という。加えて、このごろではほとんどのノートPCに無線LAN機能が内蔵されていると同氏は言い添えた。

 Expand Beyondのカプラン氏は、USPTOは、今回の特許を無効とする可能性がある「先行技術」が存在するかどうかを徹底調査したはずだと主張する。しかしソフトウェアに関して、USPTOは既に特許を取得した技術を重点的に調査しがちだと、米マサチューセッツ州ボストンの法律事務所Testa, Hurwitz & Thibeaultのパートナー、スティーブン・フランク氏は指摘する。「誰かが名乗り出ない限り、(先行技術の存在を)知ることは難しい」。

 フランク氏によれば、特許を利用すると、主に次の2つの方法でライセンス料を確保できる。1つは、特定市場に参入しようとする企業に当該技術を販売する。もう1つは、似た技術を既に提供している企業を見つけてライセンス料を――必要な場合は裁判所を通じて――請求するというやり方だ。

 また包括的な特許は、単に小さな企業を有名にすることもあれば、あるいはもっと大規模な企業との提携を獲得する役に立つこともある。特許の価値が十分認められれば、その企業が魅力的な買収ターゲットになる場合もあるとフランク氏は説明する。

 Expand Beyondは現在、与えられたすべての選択肢を検討しているところだという。カプラン氏によれば、Microsoft、IBM、Hewlett-Packard(HP)などのシステム管理ツールを扱う企業が、自社開発に時間をかける代わりにExpand Beyondの技術のライセンスを受ける可能性があるという。モバイルアプリケーションソフトを提供しているSybaseもライセンス先候補の1つだと同氏は言い添えた。

 Expand Beyondが買収交渉を行っているかどうかについて、カプラン氏はコメントを避けた。

 Expand Beyondは非公開企業であるため、自社の売上を公開する義務はなく、またカプラン氏は同社が黒字かどうかについても明言を避けた。同社の顧客には大手出版社のMcGraw-Hill Companiesやガス・電力会社のCinergyなどがある。

 ところが最近、Expand Beyondの前にはるかに規模の大きい、新しい競争相手が出現した。Oracelである。同社は、PocketDBAと似たワイヤレスリモート管理機能を持つ、データベース管理ツール「Enterprise Manager」をリリースした。

 なおExpand Beyondの特許(特許番号6,772,169)はこちらから検索可能。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

マーケット解説

- PR -