Oracle 10gの真髄は自動管理機能、パッチ適用も「簡単、安心」に

8月24日に開幕したOracle Developer Daysでは、初日にOracle Enterprise Manager 10gのトラックを用意した。とかくOracle 10gそのものに目を奪われがちだが、管理コンソールであるEnterprise Managerも極めて重要な役割を担う。

» 2004年08月24日 20時35分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 日本オラクルのフラグシップ製品、Oracle 10gは、「i」に代えて「Grid」の「g」を冠している。ストレージからデータベース、そしてアプリケーションサーバという、すべてのレイヤで仮想化を実現しており、昨年秋にOracleWorld 2003 San FranciscoでOracle 10gを披露したエリソン氏は「ソフトウェアエンジニアリングの集大成」と胸を張った。

 それまでの「グリッドコンピューティング」という定義からは異なるものの、Oracleは「エンタープライズコンピューティング」という用語を生み出し、単なるデータベースから新しい時代の企業向けプラットフォームに昇華していると主張した。

 マーケティングの成功で「グリッド」のイメージが先行するOracle 10gだが、「わずか20分弱」で済むという導入のしやすさや、管理の自動化機能も大きな特徴となっている。また、ストレージからデータベース、そしてアプリケーションサーバを仮想化するためには、プラットフォームを問わず、膨大なリソースの一元管理が不可欠となる。ハードウェアやOSの情報も管理しなければならない。

 とかくOracle 10gそのものに目を奪われがちだが、管理コンソールや管理サーバである「Oracle Enterprise Manager 10g」も極めて重要な役割を担う。8月24日に開幕した「Oracle Developer Days」では、その初日にOracle Enterprise Manager 10gのトラックを用意したことからもその重要性がよく分かる。

ルーチンワークの負荷を叩き潰す

 午前のセッションを担当したマーケティング本部システム製品マーケティンググループの山本哲也マネジャーは、管理に関する同社のアプローチを「簡単」「自動化」、そして「グリッド対応」だとする。

 複数のOracle DatabaseやOracle Application Serverを集中管理する「Grid Control」は別としても、ローカルホストだけを管理するDatabase ControlとApplication Server Controlは、データベースやアプリケーションサーバのインストール時にデフォルトで構成される。Webブラウザさえあれば、どこからでも運用管理を始められる。10gからは「EM2Go」と呼ばれるモジュールをサーバにインストールすれば、Pocket PCのようなPDAからも管理作業が行えるようになるという。

 データベースの運用管理には、日常的な監視やアプリケーションのチューニング、バックアップ、メンテナンス(パッチ適用など)の作業がある。ルーチンワークだが負荷は大きい。

 「ルーチンワークの負荷を叩き潰すのが自動化の狙い」と山本氏。

 Oracle Database 10gには、いわゆる自己管理機能が多彩に盛り込まれている。自身で監視および診断を行い、問題点があれば、そこで管理者にアラートを出す。あらかじめしきい値を設定しておけば、障害前の予防的な措置も取りやすくなる。

 最も厄介な作業の一つがパッチの適用だろう。異なるバージョンが混在する環境ではなおさらだ。モジュールやバージョン、そしてプラットフォームごとに適切なパッチを判断しなければならないし、以前にどのパッチまで適用されているかも把握していなければならない。

 実のところOracle Database 10gにはパッチの自動管理機能が実装済みだ。山本氏によれば、コンソールであるOracle Enterprise Manager 10gの次回アップグレードで利用可能になるという。

 セッションでは、米国のデモ用サーバに接続し、パッチ適用のデモも行われた。画面にはセキュリティアラートとパッチを適用すべきサーバやモジュールがリスト表示され、あとは適用ボタンを押すだけ。

 悪夢のようなパッチ適用が「簡単、安心」(山本氏)となれば、負荷もリスクも大幅に軽減されるだろう。

 パッチの自動管理機能を利用できるアップグレードは来年登場予定だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ