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近い将来、ネットワークは太陽系にまで広がる?

» 2004年09月09日 12時35分 公開
[IDG Japan]
IDG

 ビント・サーフ氏はそう遠くない未来に、データネットワークが太陽系にまで広がり、また、ホームサーバを介してマルチメディアコンテンツを友人・家族に送れるようになると考えている。――もっとも、セキュリティ問題によって、台無しにされなければの話だが。

 サーフ氏は30年前に未来のインターネットを思い描き、ネットでデータパケットを送信するためのTCP/IPを考案した人物。同氏は今週米サンフランシスコで開催のIntel Developer Forum(IDF)と同時開催のIntel Communications Allianceカンファレンスで、予想を幾つか講演している。

 MCIで技術戦略担当上級副社長を務めるサーフ氏は、米航空宇宙局(NASA)などを訪問し、それぞれ別の惑星に置いた機器間でデータをやり取りする方法の研究に協力している。この場合、TCP/IPでは遅延が許容範囲内に収まらないため、有効ではないという。

 重要なステップとなるのは、2009年ごろに火星の衛星軌道上に人工衛星を置くプロジェクトだ。この衛星は地球と火星上の探査機を結ぶ通信中継局として機能するという。

 「これにより、恐らく2010年までには2つの惑星間でインターネットを使えるようになるだろう。21世紀中には、惑星間通信システムを手にすることになる」(サーフ氏)

 一方、光ファイバーなどの上り下りの速度が同じブロードバンド技術が広まるころには、サーバが一般的な家庭用アプライアンスになっている可能性が高い。MP3音楽ファイルの共有が人気になっていることから、このトレンドを読み取れる。サーフ氏は、重要なのは下りで受信するのと同じくらい高速に、上りでもデータ送信できるようになることだと指摘する。

 また、スパムをはじめ、インターネットに負荷をかける攻撃が、迫り来る脅威になっているという。スパムの取り締まりで一番頭を悩ますのは、スパム業者を見つける過程だと同氏。

 「ネットワークを再び設計できるとしたら、ある程度の自動認証機能を設け、発信元から送り先までネットワークを経由するパケットにデジタル署名を入れられるようにしたい。当時はそうしなかったのは、そういう技術が存在していなかったからだ」とサーフ氏。しかし、半導体技術が向上したことで、デジタル署名を生かしながらパケットを流す機能を提供できるかもしれないと話している。

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