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「クロック2倍、消費電力は半分」の次世代Efficeon

» 2004年10月06日 19時01分 公開
[IDG Japan]
IDG

 90ナノメートル(nm)プロセス技術に基づくTransmetaの「Efficeon」プロセッサは、ウルトラポータブルノートPCやシンクライアント、組み込み設計への採用に対応するための準備が整った。同社が10月5日、Fall Processor Forumで明らかにした。

 同社はここ数カ月間、「Efficeon TM8800」と呼ばれるこの新型プロセッサについて説明を行ってきたが、副会長兼最高技術責任者(CTO)のデビッド・ディッツェル氏はカリフォルニア州サンノゼで開催の同フォーラムで、初めてその詳細に焦点を当てた。Efficeonは既に1.6GHz版が日本のシャープの新型ノートPC 2モデルに搭載されている(3月16日の記事参照)

 TransmetaはTM8800で1GHz動作時の消費電力を従来の半分に抑えたとディッツェル氏は語った。第1世代のEfficeonプロセッサは1GHz動作時の消費電力が7ワットだったが、第2世代のTM8800ではわずか3ワットだという。

 プロセス技術を微細化すると消費電力が減少するのが普通だが、90nm世代を境にこの因果関係は成立しなくなってきている。90nmプロセスに基づくプロセッサは内部の構造が極めて微細なものになっているため、Transmetaのように設計方針として常に省電力化を考慮していなければ、リーク電流がかつてないほど大きな問題になってしまうとディッツェル氏は語る。

 ほかの企業は90nm世代のプロセッサではクロック周波数の引き上げでめぼしい成果をあげていないが、TransmetaはEfficeonプロセッサの最速製品のクロック速度を1GHzから2GHzに倍増させたとディッツェル氏。同社はその実現のために2GHzプロセッサの消費電力レベルを既存製品よりも高く設定したが、それでもこのプロセッサは、消費電力の上限が25ワットの薄型軽量ノートPCに適しているとしている。

 ディッツェル氏によると、年末か来年初めにこの高速プロセッサが出荷開始される見通し。同社は5日にFall Processor ForumでTM8800の2GHz版のデモを行う予定。

 Transmetaは近いうちにクロック速度と消費電力の両面でもっと多様なプロセッサを用意すると、戦略パートナーシップ担当ディレクターのジョン・ハインライン氏は述べた。これは半導体メーカーに柔軟な供給を求める顧客に同社がアピールするのに役立つという。

 Transmetaはウルトラポータブルデバイス向けのプロセッサ提供で名を上げたが、シンクライアントや組み込みデバイス向けの分野にも事業を拡大することを目指しているとハインライン氏は語る。TransmetaはFall Processor Forumで、Hewlett-PackardとWyse Technologyがそれぞれ新型シンクライアントに同社のチップを採用する契約も発表した。

 ディッツェル氏によると、Transmetaの将来のプロセッサではキャッシュが倍増し、バスが高速化されるほか、クロックサイクル当たりの処理能力が大幅に向上するとの見通しを示した。同氏によると、Transmetaは成熟したプロセス技術をベースにアーキテクチャーに重要な変更を加える方針に立ち、Efficeon技術の成熟に合わせて2005年にその第3世代製品を投入する計画だ。

 今年のFall Processor Forumではデュアルコア設計に関する論議が活発だったが、Transmetaは近い将来にデュアルコアプロセッサを投入する計画はない、とハインライン氏は述べた。同社はデュアルコア技術が省電力型のモバイルプロセッサにもたらすメリットを疑問視しており、この技術が効果的に適用されるのは、性能を高める方法がほかになくなったハイエンドプロセッサに限られるという見方に立っているという。

 Transmetaは今後数年間にわたって低消費電力のシングルコア設計にこだわりながら、64ビット技術や仮想化技術、クロック速度の向上などの新たな特徴を打ち出していくとハインライン氏は語った。

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