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Firefox台頭で「MSは独占力の利用に走る」?

» 2004年10月07日 11時45分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Mozilla Foundationの「Firefox」などの代替ブラウザの成功は予想外の影響をもたらし、Microsoftはもっと積極的に自社ブラウザの支配力を利用しようとするかもしれない――1990年代後半にMicrosoftに敗北を喫したNetscape Communicationsの創設者の1人、マーク・アンドリーセン氏はこう語った。

 Internet Explorer(IE)がNetscapeを抜いてWebクライアントの首位に立った後、Microsoftのブラウザ革新は「1998年でほぼ止まってしまった」とアンドリーセン氏は10月6日、サンフランシスコで開催のWeb 2.0カンファレンスのセッションで話した。これは、Microsoftがほかの製品(MSNサービスなど)を強化したり、Yahoo!などの競合企業の成長を食い止めるために、IEを使ってできたはずのことを全部やったわけではないという意味だと同氏。

 「過去6〜7年において最も驚くべきことの1つは、Microsoftがブラウザでほぼ独占を獲得したのに、それを活用していないことだ」(同氏)

 Web測定会社WebSideStoryによると、IEは2002年6月以来、約95%のWebサーファーに使われている。だが最近は、IEのセキュリティ脆弱性がたびたび報じられ、オープンソースのMozillaプロジェクトの軽量版ブラウザFirefoxが好評を得ていることもあり、IEの支配体制はわずかに浸食され始めている(7月12日の記事参照)

 FirefoxやOperaなどの代替ブラウザからのプレッシャーが高まれば、いずれMicrosoftはIEを見直し、独占力をもっとうまく利用する方法を考え直すことになるだろうとアンドリーセン氏は語った。

 「Microsoftはきっと対抗してくる。それは保証する。向こう2〜3年で非常に興味深い展開になる可能性は高いと思う」(同氏)

 アンドリーセン氏のコメントは、Yahoo!のCOO(最高執行責任者)ダン・ローゼンウェイグ氏とのセッションの中で飛び出した。このセッションで、両氏はインターネットビジネスの今後の力関係について議論した。アンドリーセン氏は現在、Opswareの共同創設者兼会長を務めている。

 両氏の間では、向こう数年でユーザーデータの掌握が大きな問題になるかをめぐって意見が食い違った。アンドリーセン氏は、ユーザーが自分でデータを掌握することを認めなければ、それはインターネットサービスの「ウォールドガーデン」に顧客を囲い込む1つの手段となるだろうと主張した。

 こうした現象は既にeBayなどの企業で見られると同氏は指摘した。「eBayからは自分に対する評価を持ち出せない。購入履歴も持ち出せない。自分のストアもだ。オーナーと買い物客の関係はプランテーションのようだ」(アンドリーセン氏)

 1億5000万人の登録ユーザーを抱えるYahoo!に勤めるローゼンウェイグ氏は、今のコンシューマーはオンラインでの習慣を変えることができると主張した。「ここ数年、一部のカテゴリーで少数の人が習慣を変えたことに気付いた。検索もそうした分野の1つかもしれない」

 「われわれは今、非常に簡単に変われる世界に住んでいるのだ」(ローゼンウェイグ氏)

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