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“猛暑で冷や汗”のPCユーザーに業者も汗

» 2004年10月07日 19時17分 公開
[ITmedia]

 東京都心の真夏日数が記録を更新するなど、猛暑に見舞われた今夏の日本列島。エアコンやビール、アイスクリームなどが売れた一方、あまり関係がないように思われるIT業界でも特需が起きていた。

 「PCが壊れた、なんとかデータを引き揚げてほしい」──ワイ・イー・データ(埼玉県入間市)のオントラック事業部にはこの夏、不慮の事故に見舞われたユーザーからの悲鳴が殺到した。

 PC周辺機器メーカーとして知られる同社だが、実は10年前からPCなどのデータ復旧事業を手がけてきたこの分野のパイオニア。今年の9月期(8月21日−9月30日)、同事業部が扱ったデータ復旧件数は約600件と過去最高に上った。冷夏だった昨年と比べて60%増えたという。

 「例年、夏のデータ復旧件数は冬の2倍に増える」と、同社営業部の沼田理氏は言う。CPUがオーバーヒートするなどマシンの不具合が増える夏。過熱でHDDも壊れやすくなり、頼みの綱のデータ復旧業者に駆け込む人が増えるというわけだ。

 ただ沼田氏は「夏にHDD復旧受注件数が増える理由は、はっきりとは分からない」としながら、「暑さでHDDの部品が膨張し、ドライブのひずみが増すことと、高温で化学反応が促進されることが、HDD不具合が起きやすくなる原因では」と分析する。

 2002年、富士通製HDDにトラブルが続出し、回収に追い込まれたのも猛暑の夏だった(関連記事参照)。沼田氏は「トラブルの原因はチップ封止材の不具合。猛暑で封止材内部の化学反応速度が急激に上がったせいだろう」と見る。

 PCケースが小型化する一方で、高速HDDの複数搭載や高クロックCPUの発熱などでケース内の“猛暑”も深刻。“お助けマン”の存在は心強いが、熱対策には十分な注意が必要になりそうだ。

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