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ヤフーが新宿ならエキサイトは表参道――山村社長、IPOを語る

» 2004年10月08日 21時44分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「ヤフーが、色々な人が数多くの集まる都市・新宿だとしたら、エキサイトは一部のおしゃれな人が集まる街・表参道を目指す」――11月2日のJASDAQ上場を前に、エキサイトの山村幸広社長は10月8日、投資家・報道向け説明会を開き、都内の地名を挙げて同社のスタンスを説明した。

山村社長

 エキサイト全体のページビュー(PV)は週間1億4000万、ユニークユーザー数は同600万人、エキサイトID登録数は1200万。規模では国内ポータルサイトのガリバー・ヤフーに及ばない。

 しかし同社は、規模を追うつもりはないという。小規模でも“読者の顔”が見えるサイトにし、広告収入を増やす作戦だ。「広告主に喜ばれるのは、ただ人がたくさん集まっているサイトではなく、特定の層の人が確実に集まるサイト」。

 20−35歳の女性向けの「ウーマン・エキサイト」の成功が、この理論を裏付ける。「ウーマン・エキサイトのPVはエキサイト全体の約2%だが、広告収入は全体の約10%を占める」。読者を一定年齢層の女性に絞ったことで、化粧品など女性向け商品やサービスの広告が集まりやすくなったという。エキサイト全体でも、20−35歳の都市生活者をターゲットに据えている。

 また、球団経営に参入して知名度アップを狙うつもりは全くないと話した。「ネットでは、知名度とアクセス数は比例しない。エキサイトでアクセスを多く集めているのは、積極的に広告したコンテンツではなく、翻訳サービスなど他がやっていないコンテンツ。ブランド力を高めるには、キラーコンテンツを他社より先に投入することが重要だ」。

音楽配信とゲームを柱に

 現在、同社の売り上げの半分は広告収入だが、今後は、他事業の売り上げ比率を高めたい考えだ。「ポータルは収益を多角化しないとつぶれる」。

 収益の柱として期待するのが、コンテンツ販売だ。特に、オンラインゲームサイト「ゲーム・エキサイト」と音楽配信「エキサイトミュージックストア」に注力する。

 「コンソールゲーム業界も音楽業界も、ここ数年、市場が縮小している。その分をオンラインゲームと音楽配信に取り込みながら、新しい市場として成長させたい」。

 音楽配信もオンラインゲームも、ある一定のユーザー数を超えると大きな利益が上がるという。「音楽配信の粗利は売り上げの3割程度、ゲームはタイトルによって変わるが、2万人くらいユーザーがいればかなりの利益が出る」。

 音楽・ゲームともにコンテンツを拡充し、ユーザー数を増やす計画だ。「オンラインゲームは8、9月にも新作を投入。今後も新しいゲームを増やす。音楽配信はレコードレーベル側の理解が進み、思っていた以上のペースでコンテンツが集まり始めた」。今後のブレイクを見込み、積極的な投資を続ける構えだ。

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