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パリ、Linuxへの切り替えに慎重姿勢

» 2004年10月15日 07時56分 公開
[IDG Japan]
IDG

 仏パリ市は「事実上の独占」状態にあるソフトサプライヤーへの依存度を低めたい意向だが、デスクトップPC 1万7000台をすぐにもオープンソースソフトに切り替えるのはコストがかさみすぎるとの考えだ。同市が10月13日明らかにした。

 選挙で選ばれた当局者が12日に会合を持ち、ITコンサルティング会社Unilog SAが作成したオープンソースソフトへの移行に関する財政報告書について審議した。

 報告書では、今すぐオープンソースに完全移行することは、市のコンピュータの多くが旧式になっていることを考えると適切ではないと分析。さらに、コストはかさむがサービスの改善にはつながらないと述べている。報告書では代替策として市のITシステムを徐々に別のサプライヤーに公開することを勧告、当局もこれを受け入れた。

 管理業務責任者である副市長が13日発表した声明によれば、市が自前のソフト開発で主導権を握る準備を整え、個別のITサプライヤーへの依存を低めるべきだとの方針を決定した。

 同市は職員へのコンピュータ供給を増やし、システムの近代化と標準化を図る計画。システムの多くは2001年の監査で既に旧式と判断されていた。オープンソースとプロプライエタリなシステムの互換性問題は、市が選定を行うに当たって重要な要素になるだろうと声明では述べている。

 今回の決定は、市当局のITシステムで事実上の独占状態にあるサプライヤーへの依存度を低めるという、2001年に定めた戦略を再確認するものだと声明では説明。独占的サプライヤーの名指しは避けているが、Microsoftは明らかにターゲットになっていると感じているようだ。

 「Microsoftは政府機関との間で進めている交渉についてコメントはできないが、今後もパリ市当局と緊密に協力し、Microsoftの柔軟なライセンスフレームワークを公共セクターで活用してもらえる道を模索する」。同社担当者はある記者に宛てた電子メールでこう記している。

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