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NovellのデスクトップLinuxはオフィスで通用するか?

» 2004年12月15日 19時46分 公開
[IDG Japan]
IDG

 新しいLinuxディストリビューション、特にNovellのSUSE部門など定評あるベンダーのものには、「これはデスクトップでMicrosoftに対抗できる段階にあるのか?」という疑問が付いてくる。われわれは最近、ほとんどの構造化タスクの作業者のニーズを満たす企業向けの代替デスクトップOS「Novell Linux Desktop(NLD)」を入手した。

 Windowsの代替OSが有力な選択肢となるには、何が必要だろうか? まず、ほかのWindowsマシン・サーバとうまく連係しなくてはならない。ほとんど、あるいはまったく手間をかけずにファイルやプリンタを共有でき、Word、Excel、PowerPointなどの一般的なフォーマットをサポートしている必要がある。Microsoft Exchangeを含む企業の電子メールサーバとの接続性も必須だ。

 NLDは多少の問題はあるものの、これらの必要条件以上のものをサポートしている。われわれが遭遇した問題は小さなもので、いずれについても回避策があった。NLDをインストールする際、ユーザーはグラフィカルインタフェースをKDEかGNOMEから選択できる。GNOMEはXimianデスクトップの最新版に見た目が似ており、Windows XPに最もルック&フィールが近くなっている。

 このOSにはNovellの強化版OpenOfficeスイートと、同社の電子メール・スケジュール管理ソフトEvolutionが搭載されている。われわれはネットワーク経由で何の問題もなくWord、Excel、PowerPointファイルを開くことができた。問題が起きたのは、NLDで認識されないファイル拡張子を含む幾つかのJPEGファイルだけだった。

 Windowsマシンとのネットワーキングは完全にシームレスというわけではない。GNOMEでNautilusユーティリティを使った場合、ネットワーク共有のブラウジングに多少の問題が生じたが、「Connect to Server」メニューオプションを使えば接続できた。KDEでは、アドレスバーに共有名を入力しなくてはならなかった。このプロセスがもっとスムーズだったら良かったのだが――パスワードがネットワーク経由で同期化されている場合はなおさらだ。「GNOME Personal Settings」ツールはWindowsのコントロールパネルのような機能を持ち、さらにWindowsネットワーク上の共有プリンタに簡単に接続できる「New Printer」ウィザードも備える。

 LinuxとWindowsの間のパスワード同期化を処理する方法は複数あるが、初期状態のNLDでは提供されていない。もう1つイライラさせられるのは、デフォルトでユーザーパスワードがData Encryption Standard(DES)で暗号化されるようになっている点だ。DESでは8文字までの長さのパスワードしかサポートされない。もっと長いパスワードを使えるようにするには、主導でMD5をデフォルトの暗号化技術に設定する。

 NLDにはCitrix ICAクライアントとWindows Terminal Server RDP(Remote Desktop Protocol)クライアントが含まれている。Windows Server 2003マシンには問題なくログオンでき、適切に動作した。これは、企業がレガシーWindowsアプリケーションをLinuxデスクトップから走らせる手段になるかもしれない。それには接続するユーザー1人ずつにWindows Terminal Server Client Access Licenseが必要になる。

 Novellの「iFolder」は、複数のコンピュータ間でのファイルの同期化を簡単にする。NLDに含まれる現行バージョン(2.1)では、iFolderサーバを稼動させる必要がある。来年初めに登場予定のバージョン3.0はP2Pモードでも動作し、ワークグループの共同作業が容易になるだろう。Novellは2003年のBrainShareカンファレンスでiFolderの開発をオープンソースコミュニティーに委ねた。

 NLDは企業向けデスクトップとして使える状態になっているのだろうか? われわれの答えは「条件付きのイエス」だ。ワープロ作業にはOpenOffice、電子メールにはEvolution、Web閲覧にはFirefoxと、日常的なオフィス作業をこなすには十分だ。しかし、Windowsネットワークへの接続をシームレスにするには、まだ幾らか手を加える必要がある。

Novell Linux Desktop

Novell
www.novell.com

コスト:マシン1台当たり、「Annual Upgrade Protection」付きで50ドル。CD/DVDメディアキットは35ドル、e-Softwareメディアキットは15ドル。

長所:Windows文書のサポートは申し分ない。RDPかCitrix ICAを使ってWindowsサーバ上で問題なくアプリケーションを走らせることができる。

短所:Windowsネットワーク共有への接続には改善が必要。パスワードの統合によるシームレスなネットワークリソースへのアクセスもまだまだだ。

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