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楽天、国内信販を買収 自社カード発行へ

» 2005年03月10日 20時33分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 楽天は3月10日、クレジットカード「KCカード」を発行する国内信販を約120億円で買収すると発表した。国内大手ECサイト運営企業が自社カードを発行するのは、ヤフーに次いで2社目(関連記事参照)。自社発行したクレジットカードをECサイト「楽天市場」などで利用してもらい、手数料収入を取り込むねらいだ。

左から楽天の三木谷浩史社長、国内信販の中村欣治社長と、国内信販の主力行・みずほコーポレート銀行の斎藤宏頭取。斎藤頭取は三木谷社長の興銀時代の先輩にあたり、楽天イーグルスの経営諮問委員会のメンバーでもある。「10年前、三木谷が興銀を辞める時に引き留めたことを覚えている。“末に会わんとぞ思う”が現実になった」(斎藤頭取)

 ポイントサービス「楽天スーパーポイント」と連携したクレジットカードを発行し、カードローン事業も展開。楽天市場や楽天トラベルの決済に利用してもらい、手数料を収入にする。東北楽天ゴールデンイーグルスのファンクラブ会員カードにクレジット機能を付けたり、会員向け金融商品も販売する計画だ。

 同日会見した三木谷浩史社長は「割賦を中心とした購買にかかわるローンは大きなビジネスと分かっていたが、自力展開は困難」と買収の背景を説明。「日本有数のカード会社にしたい」と抱負を語った。

 国内信販のカード発行枚数は164万枚、2004年3月期の取扱高は5597億円、加盟店は15万店。九州地方をメインとした西日本が地盤だ。今後は楽天傘下でネット展開を進めるほか、楽天イーグルスの本拠地・仙台での加盟店開拓も推進する。

 同社の中村欣治社長は会見で「(ネットを使った)バーチャルマーケットは必ず大きくなる。楽天ブランドを最大限に活用したい」などと話し、来年にも上場する方針も明らかにした。

 楽天は6月1日をめどに、国内信販の発行済み株式の55.5%相当を総額120億円程度で譲り受け、約45億円の第三者割り当て増資も引き受ける方針。株式譲渡が終了次第、三木谷社長が国内信販の代表取締役会長に就任する。社名は10月1日をめどに「楽天KC」に変更する予定。

ネットバンク参入予定は「今のところなし」

 楽天が三井住友カードと提携して発行する「楽天カード」(発行数13万枚)との住み分けについては「今後協議する」(三木谷社長)。あおぞら銀行を買収してスタートしたカードローン「楽天クレジット」は「優良顧客向けで、入会できるのはユーザーの15%以下」(三木谷社長)。自社カードローンは入会条件を緩め、幅広いユーザーを取り込みたいとした。

 ヤフー、ライブドアが参入を表明したネットバンクについては、三木谷社長は「今のところ参入予定はない」とした。

「プロ野球参入でブランドが高まり、サービスを多方面展開できるようになった」と三木谷社長。ライブドアとニッポン放送の買収劇について聞かれると「今日の会見は別件。また今度」

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