楽天は3月10日、クレジットカード「KCカード」を発行する国内信販を約120億円で買収すると発表した。国内大手ECサイト運営企業が自社カードを発行するのは、ヤフーに次いで2社目(関連記事参照)。自社発行したクレジットカードをECサイト「楽天市場」などで利用してもらい、手数料収入を取り込むねらいだ。
ポイントサービス「楽天スーパーポイント」と連携したクレジットカードを発行し、カードローン事業も展開。楽天市場や楽天トラベルの決済に利用してもらい、手数料を収入にする。東北楽天ゴールデンイーグルスのファンクラブ会員カードにクレジット機能を付けたり、会員向け金融商品も販売する計画だ。
同日会見した三木谷浩史社長は「割賦を中心とした購買にかかわるローンは大きなビジネスと分かっていたが、自力展開は困難」と買収の背景を説明。「日本有数のカード会社にしたい」と抱負を語った。
国内信販のカード発行枚数は164万枚、2004年3月期の取扱高は5597億円、加盟店は15万店。九州地方をメインとした西日本が地盤だ。今後は楽天傘下でネット展開を進めるほか、楽天イーグルスの本拠地・仙台での加盟店開拓も推進する。
同社の中村欣治社長は会見で「(ネットを使った)バーチャルマーケットは必ず大きくなる。楽天ブランドを最大限に活用したい」などと話し、来年にも上場する方針も明らかにした。
楽天は6月1日をめどに、国内信販の発行済み株式の55.5%相当を総額120億円程度で譲り受け、約45億円の第三者割り当て増資も引き受ける方針。株式譲渡が終了次第、三木谷社長が国内信販の代表取締役会長に就任する。社名は10月1日をめどに「楽天KC」に変更する予定。
楽天が三井住友カードと提携して発行する「楽天カード」(発行数13万枚)との住み分けについては「今後協議する」(三木谷社長)。あおぞら銀行を買収してスタートしたカードローン「楽天クレジット」は「優良顧客向けで、入会できるのはユーザーの15%以下」(三木谷社長)。自社カードローンは入会条件を緩め、幅広いユーザーを取り込みたいとした。
ヤフー、ライブドアが参入を表明したネットバンクについては、三木谷社長は「今のところ参入予定はない」とした。
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