ITmedia NEWS >
ニュース
» 2005年05月02日 14時53分 UPDATE

MSが披露した仮想化技術のロードマップ

Microsoftは次期版Windowsに仮想化技術を組み込む計画で、Virtual ServerとVirtual PCの将来版を排除する方向に傾いてさえいる。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 米Microsoftは先週、VMwareなどの仮想化ソフトに追いつくための取り組みの一環として、Windowsに仮想化機能を直接組み込む計画について詳しく説明した。

 Microsoftの計画では、VMwareに似たアーキテクチャを採用する。VMwareはこれについて、同社の技術的な方向性が正しいことを示すものだと主張している。しかしMicrosoftは、仮想化技術がOSとプロセッサでサポートされるようになれば、ベンダー各社は仮想化技術だけでは差別化が図れなくなると指摘している。

 MicrosoftがWindows Hardware Engineering Conference(WinHEC)で披露した仮想化のロードマップでは、次期版Windows「Longhorn」に軽量の「ハイパーバイザー」コード層を組み込み、仮想マシンの作成をサポートする。

 同社はVirtual ServerとVirtual PCの将来版を排除する方向に「傾いて」さえいると、Windows仮想化部門プログラムマネジャー、マーク・キーファー氏。だが同氏は、そうと確定したわけではないと言い添えた。

 もっと近いところでは、Microsoftは「Virtual Server 2005」の最初のサービスパックで、LinuxなどサードパーティーのゲストOSのサポートを拡大するために業界のパートナー(社名は特定されていない)と協力する計画だ。このサービスパックは年内に登場する予定で、64ビットに対応し、性能向上が図られているとMicrosoftは説明している。

 この計画には十分な影響力はないと、Nebraska Health and Human Services System(NHHSS)で主席インフラシステムアナリストを務め、VMwareを採用しているジェイソン・エイジー氏は語る。

 「あまりに乏しく、遅れている」とエイジー氏は指摘し、VMwareの仮想化ソフトの方が成熟しており、よりパワーの少ないハードでより優れた性能を発揮し、NHHSSのサーバ稼働率を高める役に立っていると付け加えた。

 しかし、Gartnerのアナリスト、トム・ビットマン氏は、OSに仮想化技術を統合すれば採用は広がるはずだと語る。NovellとRed Hatも、それぞれ自社のLinuxディストリビューションで仮想化技術をサポートする計画を立てている。

 Microsoftは2年前、Connectix買収により仮想化市場に参入し、昨秋にVirtual Server 2005をリリースした。アナリストらは、Microsoftがこの市場に参入した目的は、主に旧版Windowsのユーザーに新しいハードへのアップグレードパスを提供することにあると指摘した。

 しかしVirtual Serverを使ってWindows NTサーバを統合するには、ユーザーがホストOSとしてWindows Sever 2003を走らせる必要がある。このアプローチでは、Microsoftが計画するハイパーバイザーアーキテクチャを使うやり方以上にパフォーマンスオーバーヘッドが生じると、Windows Server担当上級プロジェクトマネジャー、ベン・ウェルター氏は認めている。

 これに対し、VMwareが2001年に最初にリリースしたライバル製品「ESX Server」は、ホストOSは不要だ。代わりに、ハード上で直接実行されるハイパーバイザー層を使う。

 WinHECで、Microsoft関係者はWindowsハイパーバイザーコード層の計画を説明した図を示した。この層は、システムのリソースを異なる仮想マシンに分配する。Longhornユーザーは、OSを構成して仮想的な「役割」を実行させ、いわゆる「MinWin」構成では不要な機能を排除できるとウェルター氏は説明する。しかし、ハイパーバイザー技術が2007年に予定されているLonghorn Serverの最初のリリースに搭載されるかどうかはまだ明らかではないと同氏は付け加えた。

 ハイパーバイザーは、IntelやAMDのプロセッサに搭載された仮想化拡張機能をサポートするため、その結果パフォーマンスは向上する見込みだ。

 AMDのマーケティングマネジャー、スティーブン・マクドゥウェル氏によると、仮想化されたサーバにおけるCPUオーバーヘッドは現在10〜30%。だがAMDは、同社独自の仮想化技術「Pacifica」により、オーバーヘッドは「ごくわずか」になると期待しているという。同社は先週、Pacificaの仕様を公開した。

 宿泊サービスを提供するDelaware North Cos.の技術サービスディレクター、ボブ・アームストロング氏は、同社は昨年VMwareから購入したソフトに満足していると話す。同氏は、Microsoftが仮想化技術をOSに組み込むのは方向性としては正しいが、「それには長い時間がかかるのではないか」と心配していると語る。

 Forrester Researchのアナリスト、フランク・ジレット氏は、MicrosoftがLonghornの仮想化計画を実現するまでには少なくとも2年かかるだろうと指摘する。その間にVMwareは、汎用管理ソフトを1つの選択肢として、MicrosoftとLinuxベンダー各社の先を行き続ける方法を見出さなくてはならない。

 VMwareの戦略・市場開発ディレクター、ラグー・ラグラム氏は、Microsoftは「データセンターに進出したければ、ESX Serverのようなアーキテクチャを走らせる必要がある」ことを認めていると語る。

 しかしMicrosoftのウェルター氏は、「真に課題となるのは、データセンター中の数百あるいは数千の仮想マシンを管理することだ」と指摘、同社は管理ツールシリーズ「System Center」で、仮想管理への投資を大きく拡大したと主張している。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.