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» 2005年05月10日 22時19分 UPDATE

「“阪急”を目指す」ソフトバンク、今期黒字化へ

ソフトバンクの赤字幅が大きく縮小。今期は最終黒字を計上できる見通しという。今後はコンテンツサービスをさらに拡充する方針だ。

[岡田有花,ITmedia]

 「インフラは線路、駅はヤフー、駅ビルの店舗はコンテンツ」――ソフトバンクの孫正義社長は5月10日の決算発表会で、同社グループを鉄道事業になぞらえて成長戦略を描いた。「線路を整えて駅ビルを構え、沿線に野球チームや宝塚歌劇場を整備した阪急電鉄グループのようなビジネスモデルを、ネット上で実現したい」

yu_bank_01.jpg 「ネット業界の“財閥”を目指してきた」と孫社長

 孫社長が新たな成長戦略を語り始めた背景には、連結業績の回復がある。2005年3月期の連結決算は、売上高が前期比61.7%増の8370億円に拡大。営業損失は253億円(前期から295億円改善)、経常損失は452億円(同266億円改善)、純損失は598億円(同472億円改善)と、赤字幅は大きく圧縮した。「さまざまな先行投資をしてきたが、それぞれの事業で収益の見通しが立った。山場は完全に抜けた」

 赤字の大部分を占めるのは日本テレコムの直収型固定電話サービス「おとくライン」への投資。「おとくラインがなければ通期でも161億円の営業黒字だが、さらに高い次元での成功を目指すための“攻め”」。おとくライン事業は、今年度中か、来年度の早い時期に単月黒字化するめどが立ったという(関連記事参照)

 おとくライン事業とYahoo!BBのADSL・FTTH事業を除いた営業損益は644億円の黒字。ADSL事業は2004年度第4四半期に19億円の営業黒字に転換し、「今後は着実に伸ばしていける」。

yu_bank_02.jpg Yahoo!BB ADSLのARPU推移。「競争が激化するとARPUが下がるのが通例だが、Yahoo!BBのARPUは上がり続けている」

 FTTHサービス「Yahoo!BB 光」は、「コストや部材の性能などを試すテストマーケティング中」との位置づけ。現在の開通ユーザー数は約2万、開通待ちの申し込み者数は約5万という。

 同社は、ADSLユーザーを5年から10年かけて徐々にFTTHに移行させる戦略をとる。「FTTH回線は、1軒ずつ引いていくと効率が悪い。時期が来たらYahoo!BBのADSLユーザーを地域ごとに分け、地域単位で一気に工事してコスト効率を高める。月額利用料も、中長期的にはADSLと同等の低価格になるだろう」。

 単年度の連結業績は今期から黒字化する見通し。「数年で累損も解消するだろう。FTTHや携帯電話への投資を続けても黒字のまま走れる」。

yu_bank_03.jpg 「これまで山あり谷ありの業績だったが、ユーザー数だけは一貫して増やしてきた」

“阪急モデル”をネットで

 「ブロードバンド時代には、音声、データ、テレビが1つの回線から利用可能になる」――孫社長はこう語り、Yahoo!BBや日本テレコムの回線が、各サービスにユーザーを運ぶインフラになると展望する。孫社長は線路を回線に、Yahoo!を駅に、サービスやコンテンツを駅ビルになぞらえ、「(阪急グループ創業者の)小林一三さんが考えた(鉄道を軸に、周辺事業で相乗効果をあげる)ビジネスモデルを、ネット上で、もっと大きな規模で実現したい」と語った。

yu_bank_04.jpg

 日本テレコムを傘下に加えて“線路”のナンバーワン化にめどがたち、国内最大のポータル「Yahoo!JAPAN」という駅を保有する同社が次に注力するのは、駅ビル――サービスとコンテンツ――だ。すでに保有しているゲームや映像、音楽などのコンテンツ、ネット金融やソフトのダウンロードといったサービスをさらに拡大していく。

 特に、映像分野のラインアップを拡充し、「テレビポータルナンバーワンを目指す」。「テレビの見方はネットで変わる。ネットの映像配信で、チャンネルは無限に増え、電子レンタルビデオで数百万タイトルを選べるようになる」。特定の1社と提携したり買収するのではなく、できるだけ多くのコンテンツを集めたいとした。

 楽天やライブドアなど、同社と同様に多様なコンテンツやサービス企業を保有する企業グループは複数あるが、「ソフトバンクはほとんどの分野でナンバーワン」と胸を張る。孫社長は、3月に上場したガンホー・オンライン・エンターテイメントや、人気MMORPG「リネージュ」を運営するエヌ・シージャパンを「オンラインゲーム業界トップとナンバーツー」として例に挙げた。「上場しているグループ企業は数十社だが、5〜10年以内に100社単位の上場企業集団になる。それぞれが各分野のナンバーワンで、先駆者メリットを得られる」

yu_bank_05.jpg 野球への参入効果で、社名認知度は98%に高まった。「野球でもNo1を狙いたい」

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