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» 2005年05月13日 23時47分 UPDATE

「数時間前までもめていた」──タカラトミー、スピード交渉の舞台裏

タカラとトミーの合併は、1週間程度の交渉で決まったという。交渉中は「激しい議論の末に全員が退席する」という緊迫したシーンが何度もあったようだ。

[岡田有花,ITmedia]

 「お待たせしました」――5月13日午後8時40分、トミーの富山幹太郎社長の第一声で、タカラとトミー統合の記者会見が始まった。12日に正式発表されると報じられていた両社の合併は、13日午後7時35分に発表。「何度も破談になりそう」(富山社長)だったが、やっと話がまとまった。タカラの佐藤慶太会長は「これから乗り越えねばならない山がたくさんあると思う」としながらも、「誰から見ても効果が高い合併だと確信している」と話した。

yu_takara.jpg 左からインデックスの落合正美会長、トミーの富山幹太郎社長、タカラの佐藤慶太会長

 合併交渉が始まったのは、インデックスとタカラの資本提携が決まった4月25日以降。佐藤会長と、インデックスの落合正美会長がタカラの経営方針について話し合う中で、佐藤会長がトミーとの合併案を提案したという。

 タカラとトミーの合併話は以前も何度か浮上していたという。「事業が重複する部分も少なく、最も相乗効果が高い組み合わせと分かっていた」(佐藤会長)が、なかなか現実化しなかった。「両社とも創業50年以上と歴史ある企業。ネット企業やモバイル企業と違い、すぐに合併というわけにはいかなかった」(落合会長)。

 合併交渉中も「両首脳が激しい議論を戦わせ、全員が退席してしまうこともあった」(落合会長)。富山社長も「つい数時間前まで熱くなったり冷めたりしていた」と振り返り、「合併交渉で一番難しかった点はどこか」との質問に対しては「話すとまた熱くなるからあまり蒸し返さないで欲しい」と会場の笑いを誘った。

 「交渉の過程で破談にならなかったのは、合併会社がすばらしいから」と富山社長は話す。両社とも玩具という同じ市場で戦いながら、「製品がそれほどバッティングしない」(富山社長)ため、高い相乗効果が期待できるという。新会社の玩具分野の売上規模は約1500億円近くになるといい、「流通や生産、仕入れなどで大きなパワーになる」(富山社長)。

 わずか1週間程度のスピード交渉で合併を決めた両社。来年3月の合併期日までの前途は多難だ。富山社長は「50年以上の歴史あるオーナー企業同士でギャップも大きい。『子ども達にいいおもちゃと届けたい』一心で、苦労を乗り越えたい」とした。

 両社は、持株会社設立による統合なども含めて検討してきたが、「統合ではなく合併にしないと新しい企業として生まれ変われない」(落合会長)というインデックスの強い意向もあり、合併に落ち着いたという。

yu_takara_02.jpg 「笑顔お願いします」「楽しそうな表情でお願いします」と何度も声をかけられた佐藤会長(右)だが、硬い表情はなかなか崩れなかった

 会見での一問一答は以下の通り。

――なぜ今のタイミングなのか。バンダイとナムコの合併は統合決定に影響したか。

佐藤会長 インデックス資本が加わり、統合に一番いいタイミングだと思った。バンダイとナムコの合併の噂を聞き、似た動きが世の中にはあるなと思ったが、直接は影響していない。

富山社長 フジテレビとライブドアの動きを見て「時代は変わっているな」と思っており、そういう気持ち(他社との統合)を抱くことも何度もあった。バンダイとナムコの統合はびっくりしたが、この話(タカラとトミーの合併)とは違うと感じた。

――リストラは行うのか。

佐藤会長 既存の人員を生かして事業を拡大するか、人員を削減するかは今後検討する。

――英文社名が「TOMY」になるなど、タカラにとって厳しい合併条件だったのでは。

佐藤会長 新会社にとって何がプラスになるか考えた上で決めた。トミーにはTOMY UKというすばらしい資産もある。特に厳しい条件とは思っていない。

――両社のゲームソフト部門はどうなるか。

佐藤会長 ゲームは玩具とのシナジー効果が発揮できる分野。トミーのゲーム部門も伸びている。タカラにはアトラスというグループ会社もある。事業の方向性は今後詰める。

富山社長 ゲームに限らず、トミカとチョロQをどうするなど、お互いに知り、考えねばならないことはたくさんある。今後煮詰めていく。

――玩具分野に集中する戦略というが、タカラの家電分野はどうなるのか。

佐藤会長 家電など個別の話は、従業員の問題などがあるのでここでは言えない。色々な選択肢を検討する。

――佐藤会長はタカラの経営責任をどう感じているか。代表権を取り戻したのはなぜか。

佐藤会長 代表権を返上した時は、インデックスとの提携もトミーとの合併も決まっていなかった。この2つの大きな事業を成功させ、さらに発展させるために、代表権が必要と判断した。

――合併比率がタカラに不利に見えるが、株主にどう説明するつもりか。うるさい株主もいるようだが。

佐藤会長 比率は公正に計算してもらった結果。合併効果で企業価値は高まると説明する。おそらく(村上ファンドの)村上(世彰)さんについておっしゃっているのだと思うが、これまで貴重なアドバイスをいただいてきた。きっとご理解いただけると考えている。

――合併期日が来年3月なのはなぜか。

富山社長 落合会長は「できるだけ早い方がいい」との意見だったが、10月は無理。玩具業界はクリスマスと正月商戦が重要なので、その後の春に、ということになった。

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