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» 2005年06月09日 22時22分 UPDATE

PCのリビング進出は「大画面テレビといっしょ」

大画面テレビと融合したPCの市場投入が相次いでいる。成長著しいデジタル家電需要をうまく取り込みつつ、テレビと一緒にリビング進出も果たす作戦だ。

[小林伸也 岡田有花,ITmedia]

 「PCをリビングへ」──各社がこぞって目指しながらかけ声倒れに終わってきたこのスローガンが、再び熱を帯びてきた。鍵は「大画面」。アテネ五輪にわいた昨夏、デジタル家電の特需に食われた格好のPC市場だが、今年の夏商戦では大画面テレビを組み合わせたPCを各社が投入してきた。成長著しいデジタル家電需要を取り込みつつ、大画面テレビと一緒にリビング進出も果たす“コバンザメ”作戦だ。

yu_sharp_01.jpg Mebius PC-TX32J。右下にあるDVDレコーダーに似たボディがPC本体

 6月9日、32型液晶テレビ付き「AVセンターパソコン」を発表したシャープ。付属テレビは「AQUOS」シリーズと同じ亀山工場製パネルを採用し、TV本体にも3次元Y/C分離、ノイズリダクション、ゴーストリダクションなどの高画質化回路を搭載。“テレビも一応見られるPCディスプレイ”とは別物だ。

 新製品は、昨年9月に発売した初のAVセンターパソコンに続く第2弾。「第1弾製品のユーザーの7割がリビングで使用しており、半数以上が家族と一緒に使っている」──シャープ情報通信事業本部の中川博英本部長はこう話し、リビングPCというコンセプトの浸透に手応えを感じている。

 第2弾として投入する新製品では、父親が野球中継を見ている間に母親がネットオークションを楽しむといった使い方を想定。テレビとネット画面同時に表示できるピクチャー・イン・ピクチャー機能や、静止画向けの高画質化機能も搭載した。

yu_sharp_02.jpg リビングのメインテレビに

PCで液晶テレビの“売れ筋”狙う

 シャープのAVセンターパソコンが先駆けとなり、PC各社が大画面テレビPCを相次いで市場投入した。

 富士通は「FMV-DESKPOWER」の夏モデルとして、32型液晶付き「FMV DESKPOWER TX」シリーズをラインアップ。デジタルハイビジョン映像の録画にPCとして初めて対応したのも売りだ。

yu_sharp_03.jpg FMV-DESKPOWER TXシリーズ

 NECの26型液晶一体型「VALUESTAR W」は、PC用とテレビ用に電源を分けるなど、テレビとしての使いやすさを重視。家電を強く意識したデザインにした。

yu_sharp_04.jpg VALUESTAR W VW900/CD

 シャープの中川本部長は「最近はテレビ付きPCがテレビ売り場に並ぶようになってきた。テレビを買いに来たユーザーが、PCを選んでくれることもあるだろう」と期待する。

 シャープ新製品に付属する32型は、液晶テレビでも最も売れ筋のサイズ。同社が同時発表した「液晶IT-TV」も32型を採用した。実売予想価格は上位機種でも26万円前後と、AQUOSの同サイズモデルより10万円近く安い。無線LAN対応やネットワークプレーヤー機能など、「ブロードバンドコンテンツを楽しむのに最適な使い勝手を目指した」(中川本部長)製品として、AQUOSとの競合を避けた上で差別化も果たした。

yu_sharp_05.jpg 液晶IT-TV「IT-32M2」

家電への融合で“逆襲”するPC

 MM総研のまとめでは、2004年度(2004年4月〜2005年3月)の国内PC個人市場は537.5万台と前年度比1.7%減った(関連記事参照)。AV機能を重視した製品の投入で2004年末以降は持ち直したものの、アテネ五輪でデジタル家電に需要が流れた上期の不振を補い切れなかった。

 好調なデジタル家電需要をPC市場にも取り込みつつ、テレビの横でリビングにも収まる──大画面PCは、デジタル家電特需に泣いたPC側からの逆転と一挙両得の発想だ。AQUOSを擁するシャープは「亀山」ブランドを活用しながら、注意深く差別化することで競合を避けている。テレビを扱っていないNECと薄型テレビから撤退した富士通は、社内競合もなく存分に波に乗れる。

 ただ、「大画面PCはあくまでPCの魅力を高めるための付加価値。薄型テレビとは異なる」と見るのはBCNの市場調査部門・BCN総研だ。

 BCN総研が同日発表した調査によると、PCでテレビを見ているというユーザーは全体の約3割と前回調査から増えており、テレビを見ているユーザーの満足度も向上。一方で「今後もPCでテレビは見たくない」というユーザーもほぼ半数いた。

 「見たくない」というユーザーからは「テレビで見るのと同じならテレビで見る」という意見も出た。BCN総研は「PC+テレビだからこそできること」の提示が重要だと指摘。また「今後は、大型の薄型テレビにPC機能が付くといった融合も考えられる」と予測し、「総合電機メーカーのテレビ部門がPCへ進出する」という“逆襲”もありうると見る。

 ソニーと東芝は、プレイステーション 3に搭載するCPU「CELL」をネットワーク家電にも搭載していく計画を明らかにしている。「PC」「ネットワーク」「リビング」というキーワードに「デジタル家電」が加わり、吸収と融合の動きが熱を帯びていく。

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