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» 2005年06月10日 16時24分 UPDATE

「SNSでITリテラシー底上げを」――総務省研究会

「mixi」の一人勝ちが鮮明となり、ビジネスモデルに課題をかかえるSNS市場。総務省の研究会は「SNSは人々のITリテラシーを高めるツールになる」と期待する。

[岡田有花,ITmedia]

 SNSに今から参入してビジネスで成功するのは困難。しかし採算度外視のSNSが登場すれば、日本人のITリテラシーを高めるカギになりうる――総務省が主催する「情報フロンティア研究会」でこんな意見が出た。

 同研究会は、若手研究者やITベンチャー幹部などにITの今後を話し合ってもらうというもの。5月に開かれた第4回会合で、SNSやブログの今後が話し合われ、総務省は同市場に関する調査レポートを提出した。

 SNS市場の拡大については、悲観的な意見が多かったという。SNSは、収益モデルがいまだ確立していないためだ。

 業界トップの「mixi」、2位の「GREE」の主な収入源は広告だが、「SNSと広告はなじみにくい」と総務省情報通信政策課の内藤茂雄課長補佐は話す。SNSは友人とのゆるやかで温かい関係をベースにしているので、広告やアフィリエイトといったギラギラしたお金儲けの仕組みとは相性が悪いという考えだ。「ネット広告市場で最もシェアの高いサラ金の広告などは、特になじまないだろう」(内藤課長補佐)

yu_sns_01.jpg mixiのバナー広告。コミュニティを使ったタイアップ広告もあるほか、メッセージが受信時に登録メールアドレスに送られてくる“お知らせメール”にもテキスト広告が掲載される
yu_sns_02.jpg GREEには、友人リンク機能を使った人材系の企画広告が登場した。人材ビジネスで収益をあげている米国のSNS「Linkedin」のようなモデルを目指しているのかもしれない

 加えて国内SNSは、約70万人のユーザーをかかえる「mixi」の独占市場になりつつある。SNSは、人が多いところに人が集まる仕組み。複数SNSの掛け持ちは面倒なため、後発組がゼロからユーザーを集めるのは難しい。

 ユーザー層を限定した小規模なSNSならまだチャンスがありそうだ。同窓会サイト「ゆびとま」のSNS「Echoo!」や、ペットオーナー専用の「BEAT-kun」のほか、全日空の「ANAフレンドパーク」、ヤマハの「プレイヤーズ王国」など、企業の会員組織のSNS化も目立つ。トイザらス・ドット・コムとBEAT-kunのように、ECサイトとSNSの相互連携も進みそうだ(関連記事参照)

 内藤課長補佐は、「今後は、単体での採算を度外視した、リアルとネットの延長線上のSNSが増えるだろう」と予測する。顧客の囲い込みに活用するケースの増加や、学校のクラスやPTA、地域コミュニティなどのSNS化に期待する。

SNSが“社会のため”にできること

 SNSは、市場規模やビジネスモデルといった“お金の問題”よりも、国民のITリテラシーの向上という観点からとらえるべきという意見も出た。

 研究会メンバーの早稲田大学・木村忠正教授は「身近にいる人とSNSを利用してもらうことでITスキルを高めてほしい」と考えているという。

 背景には「日本人のインターネットに対する恐怖心が、ITスキルの向上をはばんでいる」という問題意識がある。匿名掲示板に代表される、“よく分からなくて怖い”といったマイナスイメージが、日本人をネットに対して消極的にしているという考えだ。

 SNSは、現実世界の人間関係とルールをそのまま持ち込めるため、匿名掲示板よりも荒れにくいとされている。SNSで「ネットは楽しい、便利」と分かってもらえれば、ネットの海に漕ぎ出してもらうきっかけになりそうだ。

 また、SNSは年齢を選ばない。「政府は、小中学校にPCを入れることはできても、ITを最も苦手としている中高年以上の層にIT教育をする術がない」(内藤課長補佐)。SNSなら中高年にも自然にITリテラシーを身に付けてもらえそうだ。

SNSが生む「イノベーション」

 日本人がネットをさらに使いこなせるようになれば、業種や学校、職種の壁を破ったコミュニケーションが生まれ、それが新たなイノベーションにつながるという。

 「例えば、今まではメーカーの会議室でブレーンストーミングしながら決まっていた新しい技術が、SNSやブログを通じたコミュニケーションから生まれるかもしれない」(内藤課長補佐)――個人が集まって起こすイノベーションを、SNSが支援する、といった形を想定する。

ブログビジネスは有望

 ブログは広告や容量課金で収益モデルを確立し始めた。SNSと違い、アフィリエイト広告やコンテンツ連動型広告との相性が非常にいい――1つのテーマに集中して更新されているブログが多く、企業がターゲットを絞った広告を入れやすい――ため、高成長が続くと同研究会は考えている。

 ただ、ブログ事業者で儲けを出しているところはまだ少ないという。広告を掲載しているブログは限られており、アフィリエイトリンクを張っても、儲けはブログ筆者が受け取るサービスが多い。ブログ広告市場が拡大しても、事業者側が直接受けるメリットは少ないようだ。

 「ブログコンテンツを何らかの形で収益につなげられるポータルサイトなどは、ブログ事業を今後も拡大していくだろう。しかし、会員確保のためにブログを始めた通信事業者系は、撤退が相次ぐのではないか」(内藤課長補佐)

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