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MS、Ajaxアプリケーション開発フレームワークをPDCで発表

» 2005年06月28日 20時19分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Microsoftは9月に開催する年次Professional Developers Conference(PDC)で、クライアント側ブラウザアプリケーションの開発を簡単にすることを目指した新しいオブジェクト指向フレームワークを発表する。

 この新しいフレームワークは「Atlas」のコードネームで呼ばれると、Microsoftのプラットフォーム戦略部門ジェネラルマネジャー、チャールズ・フィッツジェラルド氏は語る。Atlasは、Webページをリフレッシュするために絶えずサーバに呼び出しをかける代わりに、Webページの更新をバックグラウンドで実行できるようにするDHTMLとHTTP XMLを組み合わせている。これら技術は既存版Internet Explorer(IE)で利用できる。

 この2つの技術はAjaxと呼ばれる開発技術の基礎を成す。Ajaxスタイルのプログラミングは、サーバ上で変更を施さなくても、ブラウザページ上で動的に変化するアプリケーションを可能にする。

 DHTMLとHTTP XMLは1997年にIEに採用されたが、当時は開発者に人気が出なかったとフィッツジェラルド氏。今のWebアプリケーション開発はマルチメディア技術をふんだんに盛り込んだリッチなユーザー体験を提供する方向に向いており、MicrosoftはAtlasがそうしたプログラミングを主流に押し上げる手助けをすると期待している。

 MicrosoftはPDCでAtlasをプレビューする。その後間もなく完全版がリリースされる予定だが、フィッツジェラルド氏はその正確な時期を明かさなかった。

 11月8日に登場予定のVisual Studio 2005でAjaxアプリケーションの構築とデバッグができると同氏は付け加えた。

 Sun Microsystemsは今週、開発者会議JavaOneを開催中だが、そこで同社が宣伝しているオープンソースJavaツール「NetBeans」は、独自のAjaxスタイルプログラミングの実装に取り組んでいる。

 しかし、Microsoftがおそらくもっと懸念しているのは、Mozilla FoundationによるAjaxスタイルプログラミングのサポートの取り組みだろうと、RedMonkのアナリスト、ジェームズ・ガバーナー氏は指摘する。「AtlasはIEの限界に関係している。MicrosoftがIEの革新を続けていたならば、同社は今心配しなくてもいいだろう。開発者はFirefoxプラットフォーム向けに次第にAjaxコードを書くようになっている。Microsoftは開発プラットフォームとしてのFirefoxを懸念している」

 Microsoftはまた、Adobe SystemsがMacromedia買収を発表して以来、同社にも警戒の目を向けている。MacromediaはFlashプレーヤーを介してローカルで動作するメディアリッチなWebベースアプリケーションを可能にしており、そうしたアプリケーションにとってブラウザは不要なものとなっている。

 Atlasを活用するアプリケーションは、IEだけではなく、あらゆる最新のブラウザ技術とも互換性があるとフィッツジェラルド氏。さらに同氏は、Ajaxスタイルの開発でリッチメディアをブラウザベースのアプリケーションに取り入れれば、MacromediaのFlash計画に匹敵すると付け加えた。

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