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プロ野球の売上げ「予想以上」 楽天、大幅増収

» 2005年08月17日 20時41分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「野球は勝てなくても売り上げは好調」――楽天の三木谷浩史社長は8月17日、増収増益の中間決算を発表した。プロ野球事業が売り上げアップに貢献にした上、知名度向上で他事業への相乗効果も現れた。EC事業やポータル、旅行、金融事業も順調に伸びた。

photo 「プロ野球事業の“呼び水”としての効果は高い」と三木谷社長

 2005年1〜6月中間決算(連結)は、売上高が358億2000万円(前年同期比73.7%増)、営業利益が108億5900万円(同51.9%増)、経常利益が114億7600万円(同56.9%増)、純利益が51億8000万(前年同期は86億5000万円の損失)。

 東北楽天イーグルス運営によるプロスポーツ事業の売り上げは33億9000万円、営業利益は1億7000万円。チケット販売が想定を上回ったほか、スポンサー料やファンクラブ収入が寄与した。三木谷社長は「投資額をはるかに上回る効果があった」と満足顔だ。球団の成績低迷のため、成績に応じて選手に支払うインセンティブの額が低かったことが利益に貢献したが、「来年は、インセンティブをたくさん支払えるよう大幅補強を検討したい」(三木谷社長)としている。

 イーグルス効果で楽天市場の出店数も伸びた。第2四半期(2005年4〜6月期)の新規出店数は1732店舗、純増数は1097とそれぞれ過去最高。イーグルスの地元・東北地区の新規出店が特に好調だった。EC事業の売上高は、前年同期比58.3%増の146億2100万円。

 楽天市場出店店舗からのクレジットカード情報流出に関して三木谷社長は「ユーザーや出店者の皆さんにご迷惑をおかけして申し訳ない」と謝罪。セキュリティ対策として、店舗にカード情報を渡さない決済システム利用を義務づけたことで混乱が広がっている件に関しては、「対応が拙速過ぎたと言われるかもしれないが、急いでやらないと信頼を失ってしまう。『カード情報を持ちたくない』という店舗の方が多く、ほとんどの店舗が当社の姿勢に賛同している」と話した。

 楽天トラベルを含む旅行事業の売上高も、同23.1%増の30億6600万円と好調。9月にスタートする新契約体系での料金値上げが旅行業界の反発を招いたが、実質値下げとなるキャンペーンを発表した効果もあり、ほぼ全施設で新契約に移行したという。三木谷社長は、「楽天トラベルの手数料は、JTBなど他の旅行代理店と比べて破格に安い」と強気を崩さない。

 インフォシークのポータル事業の売上高は同37.6%増の31億2200万円。広告の好調が寄与した。

 金融事業の売上高は、同75.4%増の116億1900万円。楽天証券の新規開設口座数は、松井証券を抜いて業界2位となったという。10月には株式委託手数料の大幅値下げを行い、1位を独走するイー・トレード証券を追撃する。

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