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» 2005年08月26日 23時10分 UPDATE

IDF Fall 2005「Viiv」PCをデジタルリビングの主役にしたいIntel (1/2)

IntelがIDF Fall 2005で発表したテレビパソコン向けプラットフォーム「Viiv」によって、デジタル化されたリビングでもPCを中心的役割をさせようとしている。ただ、米国ではともかく日本市場では前途多難のようだ。

[本田雅一,ITmedia]

 「PC市場だけでなく家電市場も見据えている」

 Intel Developers Forum Fall 2005での基調講演で、Intel版テレビパソコンプラットフォームの「Viiv(英語発音では“バイブ”だが、Intelによると日本では“ヴィーブ”が公式の読み方)」を発表したIntelのデジタルホーム事業本部副社長兼本部長のドン・マクドナルド氏は、Viivの将来についてそう話した。

Viivが狙うデジタルハブの座

 Viivはコードネーム「East Fork」の名で呼ばれていたデジタルホームPC向けプラットフォーム。Centrino Mobile TechnologyのマーケティングプログラムをIntel副社長のアナンド・チャンドラシーカ氏とともに成功させたマクドナルド氏が、Intelとして2番目のプラットフォームとして取り組んでいるものだ。

ドン・マクドナルド氏 基調講演でViivについて説明するドン・マクドナルド氏

 マクドナルド氏の基調講演およびその後の記者会見での話を聞いてみると、Viivが実現しようとしている目標は3つあるように見える。

 1つはパソコンに集まるテレビ放送、その録画、音楽、写真といったメディアを、単にパソコンだけで楽しむのではなく、ネットワークデバイスやポータブル機器を通じて誰もが簡単に、どこでも楽しめるプラットフォームを作ることだ。

 もちろん、ホームネットワークの中でメディアを共有しようというコンセプトは今に始まったものではない。そもそも、Viiv対応マシンにインストールされる「Windows XP Media Center Edition」は、最初からネットワーク機器への映像・写真・音楽などの配信を行う機能が統合されているが、互換性やコーデックに何を使うかといったルールは比較的緩めだ。

 しかし、ViivにはViivプラットフォームドライバというソフトウェアが提供されており、プレミアムコンテンツ配信やコーデックの互換性などをIntelが保証する点が異なる。プラットフォームドライバにはViiv対応プレミアムコンテンツへのアクセス機能、ネットワーク対応のビデオプレーヤー(Intelでは「Digital Media Adaptor」と呼んでいる)などへのDTCP-IP(Digital Transmission Content Protection over IP:デジタルホーム機器のネットワーク接続時におけるコンテンツ保護技術)によるセキュアな配信、DLNA(Digital Living Network Alliance)ガイドライン対応デバイスに対する設定不要のリアルタイムトランスコードなどの機能が提供されるため、ベンダーは労せずしてデジタルホーム向けの機能を実装できてしまう。

 しかも、IntelはViivのマーケティングプログラムを第2の成功事例とするため、大量の資金を投入する事を計画している。Viivで使われている技術はすべて業界標準を基にしたものばかりで、Intelだけのユニークな技術があるわけではない。しかし、必ずしもユニークな技術が必要というわけではない。

Viivロゴ ViivロゴはCentrinoロゴとはずいぶん雰囲気が違う

 Centrinoは業界標準のWi-Fiを基にしたものであるにもかかわらず、Centrinoのマーケティングプログラムに乗って無線LAN市場を拡大させた。Intelの狙いはホームネットワークに対応したマルチメディアPCの普及であり、Viivブランドのロゴが付いていれば、コンテンツやDigital Media Adaptorで必ず楽しめる、完全にプラグアンドプレイでなおかつセキュアな環境を作る事で市場を拡げることだ。

 もう1つ別の切り口で見ると、家庭内におけるデスクトップPCの存在価値を高めるという目的も垣間見える。あらゆるDLNA対応機器に対して、コーデックの違いやプレミアムコンテンツの著作権保護機能をユーザーが意識せずに配信サービスを行うには、ハイパフォーマンスなデュアルコアプロセッサが必要となる。

 PCをデジタルメディアの中心基地として利用する際に起こるさまざまな問題に対して、プロセッサのパワーやチップセットレベルの機能で対応することで、Intelは自社製品の付加価値を高めることができる。現時点でViivが成功するか否かは判断できない(おそらくMedia Center PCの割合が多い北米では成功するが、日本では難しいように見える)が、一度、Viivのロゴシールが貼られた製品ならば、必ずリッチなコンテンツが楽しめるというイメージ作りに成功したときのビジネス的なメリットは大きい。

 最後にプレミアムコンテンツにもネットワーク配信にも対応したテレビパソコン開発の敷居を下げる意味もある。ソフトウェアの開発力や製品の企画力が弱いPCベンダーでも、Intelが用意したViivの構成要素を組み合わせれば、一通りの機能を持ったテレビパソコンができあがる。Viivのハードウェアを構成するための要件として「Pentium D」もしくは「Yonah」、ICH7が利用可能なチップセット(著作権保護機能付きビデオ出力が必要なため)、Intel製イーサネットチップを採用しなければならないが、この条件(およびWindows XP Media Center Editionの採用)さえ守れば、IntelがViiv向けに開発した設計やソフトウェアなどを活用できるわけだ。

 加えてIntelは家電向けビデオ処理プロセッサのOplusを買収した。Oplusのビデオプロセッサは動画像を美しく表示するためのもので、AV家電レベルのクオリティーを実現できる。マクドナルド氏によるとOplusチップは(必須ではないが)Viivを構成するエレメントとして提供され、高画質モデルもIntelのデザインガイドに従って設計すれば自社製品に利用可能となる。

「Oplus MN301」チップ 今年の春に買収したOplus Technologiesのビデオ処理プロセッサ「MN301」

 このほかIntelはAV機器風のハードウェアや、Mac miniに見られるようなシールドケースに入ったモジュラー型のPCを構築するためのリファレンスデザインも提供している。

日本でViivを待ち受けるハードル

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