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“強者の責任”に直面するヤフー

» 2005年09月07日 13時35分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「大きくなるにつれ、守らなくてはならないものが増えた」――ヤフーの井上雅博社長は、今や国民的サービスに成長したヤフーの運営についてこう語る。月間の総ページビューは276億、Yahoo!IDのアクティブユーザーは1389万(それぞれ7月の数値)にのぼる日本最大のポータルの影響力は甚大。運営も慎重にならざるをえない。

井上社長

 「ヤフーのサービスは、一度上げたら止められない」――もはや“あって当たり前、正常に動いて当たり前”のヤフー。新サービスをリリースする際は、何百万、何千万のアクセスに耐えられるか、個人情報保護は大丈夫かなど、細かいところまで何重にもチェックして万全を期しているという。「ヤフーのサービスにデッドリンクがあったらイヤでしょう?」

 チェックを厳しくすればするほど、サービス開発のスピードは落ちざるを得ない。ヤフーの規模が拡大するにつれて付き合いのある会社の数も増え、「あっちを立てればこっちが立たずという状態に陥ることもある」という。配慮すべき条件は複雑になる一方。「サービスのリリースがスピードアップすることはないだろう」と井上社長は認める。

 確かに、新技術や新型サービスへのヤフーの反応は、少々鈍いようにも映る。ブログや音楽配信を始めたのも、他ポータルやISPが軒並み参入した後、今年1月になってからだった。しかしユーザーベースが圧倒的に大きいため、後発でもかなりのシェアを獲得している。

 井上社長は「利用者の固まりが既にあるところにサービスを出したい」と話す。新しい技術をただ追いかけるのではなく、確実に多数のユーザーを得られるサービスを慎重にリリースする構えだ。

 井上社長が現在、興味を持っているサービスはソーシャルネットワーキングサイト(SNS)。「SNSで作成される人間関係のマップを、何かに応用できたら面白そう」

検索のあるべき姿

 「1つのサービスで全員を満足させるのは難しくなってきた」と井上社長は語る。「検索も、パーソナライズするのがあるべき姿と思う」

 検索サービスは10月から、カテゴリ検索主体からロボット検索主体に変える。「米Yahoo!と同じ流れ」。ユーザーが検索に慣れてきて、カテゴリ検索があまり使われなくなっていたことも大きな理由という。

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