ITmedia NEWS >

わたしが「ネットの検閲官」?(1/2 ページ)

» 2005年09月12日 11時20分 公開
[David Coursey,eWEEK]
eWEEK

 一部のブログで、わたしがインターネット上における言論の検閲を支持しているとの噂が広まっている。

 これは、わたしが以前に出した「米国民をインターネット犯罪から保護するために、将来的に国家レベルのファイアウォールの設置が必要になるだろう」という趣意のコメントが誤解されているからだ。

 わたしは、商用目的の言論――タバコの宣伝など――が、政治的、芸術的、宗教的表現と同じレベルで保護されるべきだとは思わない。だからといってわたしが「検閲官」の資格を満たしているとは思えない。

 スウェーデンでは、子供向けのテレビCMは有害だという理由で、子供を直接ターゲットにしたテレビCMを禁止している。

 子供(と親)を保護するための素晴らしい措置だが、これを支持するからと言ってわたしが検閲官呼ばわりされたり、スウェーデンには言論の自由がないと批判されることはないだろう。

 大部分の、いやおそらくすべての基準から見て、欧州における民主国家の国民と米国民は言論の自由を最大限に謳歌している。

 わたしたち米国民もそれに含まれることを嬉しく思うが、同時に、自由には責任が伴うことも認識しなければならない。

 (下劣なトークで有名なDJ)ハワード・スターンがわいせつ罪で刑務所に入れられても気にならないし、ラジオやテレビの「放送禁止用語」は維持されるべきだ。

 しかしもし誰かが公共の広場に立ち、政治的、宗教的、あるいは芸術的表現の1つとしてそうした禁止用語を使ったとしても、それは許されるべき、いや奨励さえされるべきだと思う。

 けれども、米国法の手が及ばない別の国にいる誰かが米国の小児性愛者向けに児童ポルノを提供し出し、この電子アクセスを拒否したら、それは「検閲行為」に当たるのだろうか?

 児童ポルノも言論の自由として保護されるべき――こう考える人がいるとしたら、わたしからその人に言うことは何もない。

 わたしは、自分が支持しない政治的立場を主張する人や、属していない宗教の宣伝あるいは個人的に嫌いな芸術作品の掲載について、とやかく言っているのではない。

 ここで言っているのは、子供を食い物にし、米国の小児性愛者を刺激して違法行為を続けることで金を儲け、しかも米国法が及ばない場所からこのような行為を行っている犯罪者のことだ。

 このようなサイトが米国から発信されている事実が発覚すれば米国法に基づいて刑罰が与えられるが、別の国から発信されていたらどうだろう?

 一部では、こうした犯罪者の米国への入国を拒否するとか、彼らが住んでいる場所で逮捕を依頼し、引渡しを受けて裁判すればいい、といった意見が出ている。

 いずれも極めて単純な手法であり、犯人を実際に見つけられるという仮定に基づいている。

 容疑者を特定した後、彼らの入国を拒否(そもそも彼らは入国など試みるだろうか?)するか、あるいはわたしたちの申し立てを地元の警察に聞き入れてもらい、逮捕してもらう――。

 こんな措置が機能するのなら、わたしだって全面的に支持したい。だがこれが素晴らしい効果を発揮するとはどうしても思えないのだ。

 もっとも、わたしが以前に好ましくないサイトを“電子的国境”でフィルターにかけるのも1つの手だと述べた際、中国政府もいっしょくたに扱ったことは認める。この国は、共産党の独裁政府を維持するために、政治的・宗教的言論をあからさまに検閲している。

 このコラムをいつも読んでくれている読者なら、 わたしの友人と同じように慈悲深く、わたしが中国政府に倣えと言っているのではないことを十分に分かってくれているだろう。

 米国企業がそうしたフィルタリングソフトを中国に提供していると誤解したことがあるのだが、その時の状況を批判者たちが知ってくれたら、今のわたしの立場への理解を深めてくれると信じている。

カッとなって……

       1|2 次のページへ

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.