ITmedia NEWS >

100カ国展開目指す「OKWeb」 “荒れない”サイト運営の哲学

» 2005年09月29日 15時59分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 Q&Aサイト「OKWeb」を運営するオーケイウェブは、来年から海外進出を始め、2010年までに100カ国展開を目指す。国内で培ったコミュニティー運営法を海外に持ち出し、世界中の人がネット上で安心して質問・回答できるサービスを構築したい考えだ。

photo デザイナーから社長に転身したOKWebの兼元謙任社長。社内のパーティションをペットボトルで作るアイデアは、社長の発案だ。浮いたパーティション代で、社員用の椅子とディスプレイをグレードアップしたという

 OKWebの登録会員数は約40万人、累計質問数は約600万。ユーザーは右肩上がりに伸び続けているといい、検索エンジンを使いこなせないネット初心者に特に好評という。

 個人の利用は無料だが、2種類の企業向けサービスで収益をあげている。(1)「教えてgoo」のように、OKWebのユーザーやシステムをまるごと貸し出すサービスと、(2)OKWebのシステムで企業内にFAQデータベースを構築し、ナレッジマネジメントに生かしてもらうサービスだ。

 ユーザー同士・社員同士で質問・回答してもらうことで、企業のユーザー対応コストや、社内の問い合わせにかかる手間を削減し、ナレッジマネージメントシステムを効率的に構築できるとしている。(1)はすでに30社が、(2)は180社が導入しているという。

 2006年には米国、中国、韓国に進出する予定。まずは国内で導入済みの企業の海外拠点から展開していき、2010年までに100カ国、20言語の制覇を目指す。同社の兼元謙任社長は「海外のローカル情報は、いくら支払っても知りたい情報になりうる」とし、Q&Aを国際化すればビジネスも広がると話す。

 兼元社長は「“世界に聞くボタン”を作るのが、国際化の本当の目的」と楽しそうに話す。「『彼女ができないんだけど……』なんて悩みも、世界じゅうの人に答えを聞いたら面白い」

OKWeb流、荒れないコミュニティーの作り方

 40万人がハンドルネームで利用するQ&Aサイト内で中傷が飛び交うのを防ぎ、企業の利用にも耐える、荒れない場にするのは容易ではない。兼元社長は、OKWebを“国立公園”にすることで、荒れないコミュニティーを作ってきたと話す。

 国立公園が荒れない理由は(1)雰囲気、(2)ルール、(3)規約、(4)システム――にあると兼元社長は考える。ゴミを捨てにくい雰囲気をかもしだし、「ゴミを捨ててはいけない」というルールや規約をつくり、入り口で持ち物チェックをしてゴミを持ち込めないシステムにする――OKWebは、“荒らし”の持ち込む差別発言などの“ゴミ”を、ネット上で掃除する。

 OKWebは、書き込みに対して12段階にわたるチェックを実施。チェック内容は非公開だが、ユーザーが気持ちよく疑問を解決でき、差別発言などで傷つくことのないよう配慮しているという。例えば、殺人や売春など非人道的な行為を肯定するような書き込みや、特定の人種に対する差別発言などが、削除対象となりうる。

 「グレーゾーンの書き込みに対してもあえて踏み込んでルール作りをする役割が、サービス運営者にはあると思う」と兼元社長は話し、ユーザー同士の自浄作用に期待するだけでは限界があると指摘。サイトの目的――疑問を解決する――を常に意識し、その趣旨に反する書き込みを監視・削除することで、安心して利用できる場を維持する。

愛T=愛をトランスファー

 「ネット上の情報交換には愛が必要」といのが、兼元社長の持論だ。「○○人はダメだ、殺せ」などという根拠のない中傷があふれる現状を、“愛”で克服したいという。

 このメッセージを伝えるため、音楽レーベル「OK LABEL」も始める。コンセプトは「愛T=愛をトランスファーするもの、それがIT」。「愛」と「IT」をテーマにした音楽を生み出していく計画で、賛同アーティストを集め、11月にファーストアルバムをリリースする予定だ(関連記事参照)

 兼元社長が半生ををつづった著書「グーグルを超える日 オーケイウェブの挑戦」(税込み1365円、全216ページ)がソフトバンクパブリッシングから発売中。ホームレス生活から一転し、会社を設立した経緯や、OKWebから「今週、妻が浮気します」が生まれた背景、グーグルを超えるべく奮闘する日々などが描かれている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.