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「少々心外だが、真剣に検討する」――TBS社長

» 2005年10月14日 01時34分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 楽天が10月13日、東京放送(TBS)株式の15.46%を取得し、TBSに経営統合を申し入れたことを受け、TBSの井上弘社長は同日夜、都内で会見を開き、「事前連絡もなく株式を大量に取得されたのは少々心外だが、提携については真剣に検討したい」などと話した。ただ「協議はまだ始まっていない」(井上社長)と強調。提案内容の検討を重ねた上で協議に入るかどうかを決めたいとした(関連記事参照)。

photo TBSの井上社長

 井上社長によると、両社は今年2月から9月29日にかけて何度か提携を交渉してきたという。「TBSは通信と放送の融合に積極的」と井上社長は話し、楽天との提携を前向きに検討してきたという。しかし、資本提携を前提に考える楽天の三木谷浩史社長と、業務提携のみを模索するTBSとの交渉は折り合わず、協議は中断していた。

 報道などで楽天の株式大量取得を知った井上社長は、同社の城所賢一郎取締役を伴って、10月13日午後3時から三木谷社長、楽天の国重惇史副社長と50分あまり会談。株式を取得した経緯や提携案について説明を受けたという。

 井上社長は、事前連絡なしの大量保有について楽天側にただしたが、納得できる説明を受けられなかったとしている。村上ファンドとの関係も問い詰めたが、三木谷社長は明確に否定したという。

 井上社長は「これまでずっと話をしてきたんだから、どうしても株が欲しいなら事前に明確な意思表示をしてほしかった」と不満を漏らしつつも、提携については「筆頭株主のおっしゃることだから真しに検討したい」と話す。ただし「今日は申し入れを受けただけで検討はこれから。協議をすると決めたわけではない」と釘をさした。

すべては「これから検討」

――交渉に応じるつもりか。

井上社長 TBSが考えていた提携と三木谷社長の提案はレベルが違いすぎる。どうするかはまだ考えていない。慎重に検討する。

――楽天の株式取得を敵対的と感じるか、友好的と感じるか。

井上社長 予見を持って経営判断するのは最も危険。。唐突な印象は受けているが、あるがままに受け止めるつもりだ。今日の三木谷社長の説明は、企業価値を上げたいという話で、友好的な印象は受けている。

城所取締役 敵対的かどうかは、社外のメンバーで構成した企業価値評価判定委員会が決める。先入観で軽々に言うべきではない。

――TBSは5月に、新株予約権を発行する敵対的買収への防衛策を発表している。買収防衛策は発動しないのか。

井上社長 まだ何も考えていない。買収をかけられたとも思っていない。

――「世界に通用するメディアを作りたい」という三木谷社長の提案をどう思うか。楽天を株主に迎えて、放送の中立性を保てると思うか。

井上社長 これから検討していく。

――楽天はTBS株をさらに買い進めると思うか。

井上社長 甘いかもしれないが、そういうことはないだろうと思っている。楽天の善意を信じたい。

――企業価値を高める経営に失敗し、株価が低迷していたことが今回の買収を招いたのでは。

井上社長 株価は思うようにならないもの。実際の株価と私の判断が食い違うことは多い。株価が企業価値そのものとは思っていない。いくらやっても上がらない時は上がらないし、誰かが買い集めているといううわさが流れれば上がることもある。

――楽天の構想が実現すれば、球団を2つ持つことになり、三木谷社長は「1つは手放さなくてはいけない」と話していた。ベイスターズを手放すつもりはあるか。

城所取締役 今日の三木谷社長との会談では、ベイスターズの話は出ていない。TBSとして手放すつもりはない。

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