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「ドコモとして音楽配信はしない」──タワレコ提携の狙いは

» 2005年11月07日 19時44分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 NTTドコモは11月7日、音楽ソフト販売最大手のタワーレコードと資本・業務提携すると発表した。ドコモはタワーレコード株式の42%を11月下旬をめどに約128億円で取得し、筆頭株主になる。両社は「おサイフケータイ」を使った新サービスのタワーレコード店舗への導入や、iモード向け音楽情報配信などを検討する。

 タワーレコードは傘下のナップスタージャパンを通じて音楽配信サービスを計画中。だがドコモのプロダクト&サービス本部・夏野剛マルチメディアサービス部長は「ドコモとして音楽配信をするつもりはない」と明確に否定した。

photo ドコモの夏野剛氏(左)とタワレコの伏谷博之社長

 ドコモは、タワーレコードの現在の筆頭株主の日興プリンシパルから発行済み株式の一部を譲り受けるほか、タワーレコードが11月中に実施する第三者割当増資を引き受ける。

 おサイフケータイを使った新たなクレジット決済サービス(関連記事参照)の、全国100以上のタワーレコード店舗への導入を検討するほか、iモードを使った音楽関連情報や動画コンテンツの提供、おサイフケータイを活用したポイントシステムの導入、情報サービス「トルカ」を活用した店頭での試聴など、店舗と携帯を連動させた新サービスの展開を検討していく。

 夏野氏は、タワーレコードと携帯のユーザー層は重なっていると指摘。タワーレコード店舗がおサイフケータイの決済に対応すれば、おサイフケータイの魅力を若者層に分かりやすくPRできると狙いを語った。

 音楽配信に直接取り組むつもりはないとしたが「1800億円規模のiモードコンテンツ市場のうち、半分以上が音楽関連」(夏野氏)とし、携帯と音楽関連事業との相性の良さを強調した。

 資本提携も同時に行った理由として夏野氏は「おサイフケータイは、iモードのようにトラフィック収入で稼ぐモデルではない。違う形での収益モデルが必要」とした上で、「タワーレコードを連結対象に組み入れれば、投資リターンも期待できる」と説明。おサイフケータイと相性のいい小売り企業との資本・業務提携は今後もあり得るとした。

 タワーレコードの伏谷博之社長は「携帯は音楽流通インフラのキーツールになる」と期待する。音楽対応では一歩先を行くKDDIのauではなくドコモと提携したのは「ドコモがiモードで実現したようなイノベーションや、マーケットの活性化手法に共感したから」と説明。提携を通じて、ユーザーが音楽と出会える場をさらに広げ、低迷する業界を活性化していきたいとした。

 ナップスタージャパンの音楽配信については「非常に深く考えていると」(伏谷氏)として明言を避け、検討が進んだ段階で改めて発表するとした。

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