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2005年、PC業界を騒がせたニュースは……

» 2005年12月13日 10時03分 公開
[IDG Japan]
IDG

 PC市場は成熟した、退屈なITセクターとしてやや不当な評判をもらっている。確かに、基本的なPCは20年以上前からあり、もはやGoogleなどのインターネット企業のようなにぎやかな要素はない。しかし、今年最も魅惑的で、物議を醸し、重要だったニュースの幾つかは、PCメーカーとプロセッササプライヤーに関係している。その一部を時系列順で見ていこう。

 2月:Hewlett-Packard(HP)が、Compaq Computerとの歴史的な合併を指揮したカーリー・フィオリーナ氏をクビにした(2月10日の記事参照)。もっと実践的なCEO(最高経営責任者)がいいとの理由を挙げ、HP取締役会は、もちろん、フィオリーナ氏に2100万ドルのパラシュートを付けて放り出した。同氏は、PC市場を含む多くの分野で1位、または2位に付けた巨大IT企業を作り上げるという功績を残した。だが、HPが2002年の合併後の3年間Dellを相手に苦戦している間、企業経営者の間をジェット機で飛び回るようなアプローチを取ったことで批判された。3月には同氏の後任にNCRの社長兼CEOだったマーク・ハード氏が就任した(3月30日の記事参照)。ハード氏はHPをおおむねそのままの形で残したが、1万5000人の人員を削減した。

 4月IntelAMDが初のデュアルコアプロセッサをリリースした。高速シングルコアプロセッサの時代がこれらプロセッサの発する過剰な熱で溶けてしまったことを認め、両社はほかのサーバプロセッサメーカー同様にデュアルコア設計に移行した。Intelのデュアルコアプロセッサへの移行は困難に満ちていた。8月に同社のエンジニアは、同社初のデュアルコアPCプロセッサは、AMDのデュアルコア製品に対抗するために急ごしらえで作られたことを明らかにした(8月19日の記事参照)。AMDは年末までに、米小売PC市場でIntelと接戦を演じるようになった。世界最大の半導体メーカーたるIntelはこれまでにあまりなかった立場に立たされることになった。

 6月:Apple ComputerがIntelプロセッサ採用計画を発表した(関連記事参照)。PC市場のほかのベンダーと一線を画してきた時代を終え、Appleの共同創設者にしてCEOのスティーブ・ジョブズ氏は、Intelのポール・オッテリーニ社長兼CEOとともに、Appleが2006年からIntelプロセッサを採用することを発表した。ジョブズ氏はこの乗り換えについて、Intelの今後のロードマップの方が、IBMが用意しているPowerPCよりも消費電力当たりの性能が高いことに迫られてのものだと主張した。AppleはIntelの次期版Pentium Mを新しいノートPCとMac miniに採用し、最終的にはPower Macをx86命令セットに移行させ、Appleのソフト開発者に数カ月間の準備作業を行わせると見られている。

 6月:AMDがIntelを独禁法違反で訴えた(関連記事参照)。AMDは独禁法訴訟を起こすとともに、Intelに対して果敢なPRキャンペーンを立ち上げ、IntelがAMDプロセッサの購入量を限定するために、選択的なリベートとプロセッサ購入を結びつける契約をPCベンダーと交わしたと非難した。Intelはこうした主張を強く否定し、デラウェアの裁判所で戦うことを約束している。審理は早ければ2006年末にも行われ、マイケル・デル氏、フィオリーナ氏、Gatewayの創設者テッド・ウェイト氏などのPC業界の有名人が巻き込まれるかもしれない。

 11月:Dellが2四半期連続で予想を下回る業績を報告した(11月11日の記事参照)。Dellの不況の中での大きな成長、ドットコム時代後の回復は2005年で終わったが、同社が崩壊しつつあるわけではない。第2四半期(5〜7月)、第3四半期(8〜10月)に売り上げ目標を達成できなかったことで、「2006年度(2006年1月締め)に年間売り上げ600億ドル」という目標は達成できないだろう。同社は米コンシューマー市場での業績が予想を下回ったことで批判されているが、アナリストらは、同社が世界中の新興市場に勢力を拡大しようとする中で、同社自慢の直販モデルは成長の痛みを抱えていると考えている。

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