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エンジニアは転職チャンス――来年は“情報戦”に勝利せよ

» 2005年12月22日 14時01分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 今年は景気が着実に回復し、エンジニアの雇用環境は好転してきた。リクルートのエンジニア向け転職情報サイト「Tech総研」の前川孝雄編集長によると、エンジニアに対する採用意向は高く、来年の雇用環境は“晴れ”。選ばなければ仕事はある状況がしばらく続くと予測する。

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 ただ、職の選択肢が多様化し、個々人にとってベストな仕事を選ぶのが難しくなっている。自分に最高の職場を見つけるにはどうすればいいのだろうか。前川編集長に聞いた。

 エンジニアの雇用は、ここ2年ほど売り手市場。景気回復とともに、企業側の採用意向は高まっています。人を育てる余裕もでてきたため、即戦力だけでなく、ポテンシャルのある若い人を採用する傾向も強まってきました。少子化で若手の採用数が減りつつある今、労働環境を改善して若い人をつなぎとめようと努力する企業も増えています。

 ネットやITが、どの業界でもスタンダードに使われるようになってきたため、エンジニアの就職先はこれまで以上に広がってきました。技術は細分化・専門特化していく傾向にあり、技術者の職種は多様化しています。

 そんな中、エンジニアは自分自身のキャリアプランに合った就職先を、幅広い業種・職種の中から見つけなくてはなりません。多様な選択肢から自分にぴったりの職を見つけるには、情報収集が不可欠です。

 今、ネット上には雑多な情報があふれ、適切な情報を選ぶことが難しくなっています。使える情報がどこにあるか分からない上、情報を手に入れたら入れたで「他にもあるはず」と思ってしまい、見切りをつけられなくなります。

 使える情報を選ぶ目を日々の生活で身に着けることが重要でしょう。匿名掲示板やブログなどの2次情報ばかりをうのみにせず、1次情報を収集してください。また「この人なら信じられる」と思える、自分にとっての“転職コンシェルジュ”を作っておくといいでしょう。

 「スカウト転職」を利用するのも手です。スカウト転職は、自分のキャリアを登録しておけば、興味を持った企業からオファーが来るというもので、自ら職を探しに出る必要がありません。リクルートの転職サイトをはじめ、各社が導入を進めており、キャリアを文字にしやすいエンジニアと特に相性がいい手段です。

 スカウト転職なら、自分で探していただけでは気づかなかった意外な企業にも出会えるかもしれません。今すぐに転職するつもりがなくても、登録してオファーの様子を見るだけで、自分の能力の“市場価値”も分かります。

“個人”“ブログ”が主役だった今年

 Tech総研は今年も、エンジニアの転職に関連する情報を提供してきた。前川編集長と編集部の馬場美由紀さん、内海健宏さんに今年の人気企画を振り返ってもらったところ、浮かび上がったキーワードは“個人”と“ブログ”だった。

photo 左から前川編集長、内海さん、馬場さん

前川編集長 今年はブログが普及し、個人がメディアを持ち始めました。読者1人1人との距離が近くなってきたと感じています。

 Tech総研の公式ブログで、「会社訪問レポーター」のオーディションを行ったところ、ものすごい数の反響がありました。ブログのおかげで個人とリアルタイムのコミュニケーションがしやすくなっています。

内海さん 記事への反響が、想定外の形でブログに広がったこともありました。「エンジニアが刺激を受けた25冊」という企画に参加した、はてなCTOの伊藤直也さんが、同企画で紹介し切れなかったおすすめ技術書を自らのブログで公開したところ、これを見た別の技術者が自身のブログでも技術書を紹介する――といったサイクルが回り始めました。技術書紹介の輪は今も広がっています。

馬場さん 個人の給与明細やレジュメを公開した企画にもアクセスが集まりました。読者が自分の給料やキャリアと置き換え、身近に考えられるのが良かったのかもしれません。

前川編集長 給与に関する記事の注目は今も昔も高いのですが、書籍「下流社会」の流行に代表されるような、社会階層格差、収入格差に関する関心が、エンジニアの間でも高まっているようです。

photo 掲載当時の最高アクセスをたたき出したという、「COBOL」など専門用語の意味を渋谷の女性に聞く企画。「“技術者とコミュニケーション”の視点から、技術者がふだん使っている言葉が他人からどう聞こえているかを検証しようとした」と前川編集長は大真面目に語る。現在、第2弾を準備中だ

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