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エプソン、最終赤字に転落へ 電子デバイス再編

» 2006年01月27日 16時48分 公開
[ITmedia]

 セイコーエプソンは1月27日、2006年3月期通期の連結最終損益が140億円の赤字(前回予想は220億円の黒字)になる見通しだと発表した。電子デバイス事業の採算改善へ、2年間で総額420億円以上の損失を計上して固定費構造改革を実施するため。

 修正予想は、売上高が1兆5530億円(前回予想は1兆6180億円)、営業利益は240億円(同440億円)、経常利益は260億円(同450億円)。

 エプソンが業績予想を下方修正するのは今期2度目(関連記事参照)

 半導体事業で主力の中小型液晶ドライバは大幅に価格が下落し、中小型液晶ディスプレイも競争激化による価格下落や収益性の低下に悩み、高温ポリシリコンTFTは市場の成長の伸びが想定を下回っている。このため、収益性の改善へ、デバイス生産拠点やラインの再編を断行する。

 修正予想に織り込んだ今期の損失額は388億円だが、追加の引き当てでさらにふくらむ可能性があるとしている。

 インクジェットプリンタ事業は、クリスマス商戦は日米欧でフォト多機能機・フォト専用機を中心に、数量ベースで本体・カートリッジとも前年比プラスだったが、下期は計画未達となる見通し。本体の採算改善の遅れとカートリッジ伸張率の鈍化が損益に影響しているため、今後はフォト技術や顔料インク技術などの強みを生かしたセグメントへの経営資源の集中や、純正カートリッジの普及に取り組む。

 構造改革により、今後3年間の累計で約1500億円の利益改善効果を見込み、2008年度の目標を経常利益1000億円以上とした。詳細は3月に発表する中期経営計画で明らかにする方針。

 同日発表した2005年4〜12月期連結決算は、経常利益が前年同期比70.7%減の268億1700万円になった。インクジェットプリンタやシステムLSI、液晶ドライバの価格下落で減益となったことが響いた。

 売上高は1兆1753億6400万円(前年同期比5.6%増)、営業利益は231億2600万円(同76.1%減)、純利益は79億3100万円(同86.8%減)。

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