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「いいサービスと収益は両立する」――株式会社ミクシィ始動

» 2006年02月02日 11時08分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「mixi」の運営企業が2月1日、イー・マーキュリーから「ミクシィ」に社名変更し、mixiを中核に事業展開する姿勢を鮮明にした。同社の笠原健治社長は、儲からないのに続けていたオープン当初から「良いサービスを作れば、収益は後から付いてくる」と言い続けてきたが、その言葉通り、収益はユーザー増に比例して伸びているという。今年は新サービスを次々に投入し、mixiをさらに盛り上げていきたいと意気込む。

photo 「このロゴ、ちょっと地味かな?」と笠原社長

 mixiのユーザー数は、2月1日時点で266万人。1日あたりのページビュー(PV)は1億3000万を突破した。笠原社長は「社内的にも対外的にも、mixiが事業の中核として不自然でない段階に入った」と、このタイミングで社名変更した背景を説明する。

 旧社名の「イー・マーキュリー」は、商業の守護神・マーキュリーにあやかり、「ネットを使った企業向けサービスを展開しよう」と1999年の起業当時に付けたもの。企業向けサービスが中核事業だった当時の同社を端的に表す名前だった。

 笠原社長はその後、個人向けサービスにも目を向け始め、2003年秋ごろにSNS事業を企画。「これが成功すれば会社の中核事業になるだろう」と予想していたという。SNSは、うまくいけば、企業向けサービスも包括する社会インフラとなりうると考えていたためだ。今回の社名変更は、予想通りに進んでいることも意味する。

 ビジネスは順調だ。mixi事業は2005年3月から単月黒字化し、「ユーザー増に比例して収益も伸びている」という。収入源は、広告と有料サービス「mixiプレミアム」(月額315円)で、広告が半分以上を占めている。

 バナー広告のほか、コミュニティーを使ったタイアップ広告や、mixi内のニュースを配信する「mikly」の記事広告、検索と連動したキーワード広告を展開中。今春にも、ユーザー属性別に異なる広告を表示するターゲティング広告を導入する計画だ。

 2004年2月のオープン当初は、社長とエンジニアの3人体制だったmixiだが、事業拡大につれてスタッフも増加。同社正社員53人のうち半数ほどがmixiに関わっているという。それでも足りない状況で、現在、全職種でスタッフを募集中だ。

photo 昨年10月にオフィスを移転。スペースは倍に広がった

「いいサービスと収益は両立する」

 今年は新サービスを次々に投入する。第1弾として来週にも、「情報収集を効率化でき、コミュニケーションを活発化できる無料サービス」を導入予定。春ごろには、ユーザーの意見を効率的に収集し、サービスに反映できる仕組みも導入する考えだ。

 今後はmixiを「OS」ととらえ、さまざまなサービスを「アプリケーション」として付加していくという。新たなアプリケーションとして、宿泊予約やチケット予約などといった、mixiユーザーと親和性が高そうなサービスの展開を検討しているほか、同社の求人情報サイト「Find Job!」もmixiに融合していく計画。ECの導入も考えている。

 とはいえ、儲けるためだけにむやみに新サービスを導入するつもりはない。創業当時からの「いいサービスと収益は両立する」との考えは変えず、サービスの質を高めることを最優先する。

 「例えば、mixiユーザーに一斉にダイレクトメールを発信すれば、一時的な広告収入は得られるかもしれないが、それではユーザーが疲れるだけ。ユーザーにとって意味があるサービスを提供して、結果として売り上げが立てばいい」(笠原社長)

 笠原社長は、ユーザーが利用したいと思えるサービスに的を絞って導入し、mixi全体をさらに盛り上げていく考え。それが収益拡大にもつながることは、mixi事業の成長がすでに実証している。

photo mixiにそっくりなデザインSNSが次々に誕生しているが、「mixiをベンチマークにしていただけるのはありがたい」と笠原社長

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