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「名機」が販売禁止に 4月に迫る「電気用品安全法」(2/2 ページ)

» 2006年02月14日 10時46分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 苦肉の策として同店は、中古品に同店自身でPSEマークを付ける方法を模索し始めた。とはいえ、PSEマークは、製造事業者(メーカー)が自社で添付することが前提。販売店が中古品に付けるのは、かなりの手間だ。

 まず、「製造事業者」として経産省に届けを出す必要がある。さらに、製品1つ1つに電気的な加工を行い(これで「製造した」とみなされる)、通電検査など定められたチェックを行い、その記録を3年間保存する。一部製品は、第三者機関のチェックを受けなくてはならない。

 こんな手間をかけてでも、同店はビンテージ機器の販売を続けたいとしており、検査用の機械も注文したという。ただ「本当に自社でできるのか、やってみないと分からない」と不安げだ。

なぜこんな法律が?

 電気用品安全法は、そもそも何のために制定されたのだろうか。同法第1条によると、立法目的は「電気用品による危険及び障害の発生を防止する」こと――つまり、電化製品の安全性を確保すること、だ。

 ただ、同法施行以前に製造された電化製品も、安全性にそれほど違いはないようだ。経産省の担当者は、「電気安全法は、1962年に制定された『電気用品取締法』を改正した法律だが、両法の安全基準はそれほど変わっていない」と話す。

 旧法と新法の大きな違いは、電化製品の製造・販売に国の認可が必要かどうか。旧法は、製造・販売に国のチェックが入ったが、新法はメーカーが自社でチェックしてPSEマークを添付できるようにし、民間の自由度を高めた。

 つまり、PSEマークがない製品でも、旧法に適合していれば、安全性は国によって担保されていることになる。それでも旧法時代の製品の販売を禁止するのは、「市場にいろいろなマークの製品が混在するのは好ましくない」(経産省)ためだという。

 確かに、PSEマーク付き製品とそうでない製品が混在すると、消費者は「どれが安全なのか」と迷うかもしれない。しかしだからといって、新品では代替の効かない貴重な中古品まで簡単に販売できなくなるのは納得しがたく、ネット上で不満をぶつけるユーザーも多い。

 「中古品販売事業者の方やAVマニアの方が困っていらっしゃるのは承知している。しかし製品が法律の対象となっている限り、ご理解いただくしかない」(経産省)

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