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新生BIGLOBE、ISP成熟時代の成長戦略は

» 2006年03月28日 21時34分 公開
[ITmedia]

 1996年にスタートし、今年で10周年を迎えるBIGLOBE。売上高が380億円に拡大した2000年度に黒字化したが、その後の成長スピードは鈍化する。NEC本体の業績悪化もあり、スピンアウトして成長を目指すことになった(関連記事参照)

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 ただ、分社化しても「BIGLOBEがNECの成長戦略、特に次世代ネットワーク(NGN)の柱という位置付けは変わらない」(川村副社長)。今後も出資を含むパートナーは募り、社長に就任する片山専務は「個人的には、今の市場環境なら3年くらいの間には」と株式公開も検討するが、NECは議決権の過半は維持する方針だ。

 インターネット人口の伸びが頭打ちとなる中、ISP業界の成熟が指摘されて久しい。BIGLOBEの会員数は「1320万人」だが、登録だけで済む無料会員などを含んだ数字。接続会員は非公開だ。映像配信などの潜在顧客になりうるブロードバンドユーザー数では、ソフトバンク系の「Yahoo!BB」やNTTコミュニケーションズの「OCN」に比べ苦戦しているとみられる。

 会員の大幅増が見込めない以上、新生BIGLOBEは一層のポータル化、つまり他社ユーザーも取り込んでいく集客力が必要になる。BIGLOBEが会員数を無料登録を含めた合計で公開するのも「無料会員などを取り込んでいく戦略」(佐久間BIGLOBE事業本部長)だからだ。

 BIGLOBEは動画ポータル事業を本格化しており、アクセスを集められる優良コンテンツの確保に向け、制作段階からの投資も手掛けてきたが(関連記事参照)、電通と博報堂の資本参加でこうした動きも加速しそうだ。市場の成長が続くECも本格化し、住友商事の通販ノウハウを得て大幅に強化する。関心が高まっている個人向け金融コンテンツには、大和証券グループ本社と三井住友銀行が参加する。

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 企業向けプラットフォームでも昨年9月、グリッドコンピューティングを活用したオンデマンドサービス基盤をISPとしては初めて開始するなど、ネットワーク力には実績がある。佐久間BIGLOBE事業本部長は「新会社はISP事業とブロードバンドメディア、企業向けプラットフォームの3つを同時に展開できるのが他社との差別化のポイント」と話した。

photo 新会社の“三本の矢”

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